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幕末読書感想文:1巻目:後編

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伏龍殿の覇者
伏龍殿の覇者

1.はじめに
前回の続きです。こっからは学校では勉強した(筈だけど)知らない歴史
https://taisengumi.jp/posts/161699

2.メモ
・かの有名な日本を今一度せんたくいたし~という坂本龍馬の有名なフレーズは、久坂くんが張り切って外国船に玉ぶち込んだんだけど、それをなんと幕府の姦吏が直しているではないか!そういうのは許せない!そういう「姦吏を一事に軍(いくさ)いたし打ち殺し、日本を今一度せんたくいたし申候」だったので気軽に龍馬のポーズを取らせて男児・女児向けアニメとかで使うべきではないかもしれない

・イトシュンが「この時期に攘夷をちゃんと政治的にやろうとすると精神がたるんどる!みたいな感じで斬られちゃうから大変だったんだよね~」って言っている、外国船打ち払い初期の攘夷はまだ宗教観に基づいた精神論的な部分が大きい

・奇兵隊かなり急造感がある

・奇兵隊は「Step1アカン!玉ぶち込んだけど勝てん!」「Step2高杉くん!どうする!?」「Step3え~と、正規軍とは別にゲリラ隊を設けて、上陸されたら側面から攻撃します」みたいなイメージの設立

・八月十八日の政変が出てきた。こういうのってすごおく覚え辛いと思うプロレスを見習って6・2蔵前大会とかみたいに8.18京都〇〇みたいにならないものだろうか

・ちょっと待って!?コイツ後の池内蔵太なんだろうなと思ってた人が別人の渡辺 内蔵太だった!?もしかしてこの読み方ポピュラーだったのかなぁ

・5ページ読むたびに長州がヤバい攘夷と武力を背景にした失地回復を目指している

・色々あって高杉くんも牢に入れられるんだけど「先生を慕うてようやく野山獄」は過去一オシャレな句

・この後牢にいる高杉に酔った周布さんが声掛けに来るエピソードがあってきゅんとするんだけどちょいちょい周布さん酒に酔ってしょうもないことしてるからなマジで、勿論この後要職を解任させられている

・久坂くんがしょっちゅう攘夷実行のためなら藩がつぶれてもOK精神論を出してくるので、久坂くんの知力は知恵の分しかないために利麿より知力が低いのかもしれない、オランダ語は読めるからOK、英語は勉強したけど合わなかったみたい

・8.18の政変で長州のヤバすぎに憂慮した孝明天皇が長州⇒薩摩に鞍替えして七卿落ち⇒禁門の変の流れの途中に池田屋事件があるんだけど、池田屋事件はどうしても新選組のトピックとして捉え(られ)がちになってしまう所がある。
ただこれも「長州を遠ざけた⇒長州がなんかしそう⇒京都に攘夷の機運が高まってる⇒集まってる志士をやっちゃおう!⇒志士がやられた!もうこれはいくしかない!」の流れなので、遠因として守り手側(御所警備及び新選組)が禁門の変のトリガーを引いたといっても過言ではない気がする。
勿論これは誰が悪いわけでも(まぁ長州は悪いのかもしれないけど)無くて、歴史を後ろから読んだら~という話ではあるが、池田屋事件が無かったらもうちょっと軟着陸したとか、禁門の変が後ろ倒しになった~とかはあるのかもしれないね。

・結果禁門の変で、長州の権威を取り戻すべく御所に向かうわけだけれど孝明天皇自身にやめなって言われても進んでいるのでここは擁護できる所はない。もし仮に全面的に勝って御旗を手に入れていたとしても董卓みたいなものなので、どうせ良くない。なので戦争で有利な状況を作ってから和解するつもりだったのかもしれないと思う。どちらにしてもここで攘夷過激派は消えるべきだったので読む前まではここで久坂が死ぬのが惜しいなと思っていたが、しょうがない死のように思える。

・小松帯刀(コマツタテワキ)好き、名前だけ

・長州で責任取らされるの増田・国司・福原・宍戸辺りなので毛利の名残を感じる

・リョーマくんも中岡慎太郎も西郷隆盛を褒めている。しょうがないけどリョーマくんは勉強しなかったので砕けた表現だが要約して「叩いたら叩いただけ反応があり、馬鹿なら凄い馬鹿、英傑なら凄い英傑」と言っていて、中岡慎太郎くんは要約できないくらい美麗な字句で褒めている。色々褒めた理由があるが、中岡くんは詩人であっても良いくらいオシャレに人を褒める。

・あかねたけとが裏切った感じ出てるけど、あかねたけとが奇兵隊総督の時に高杉が無理くり挙兵して政権奪取するのを断っただけでは?高杉くんが無事長州の一部を占領して政権にNOを叩きつけると、責任を取らされて牢にいた正義派の武将とあかねたけとは処刑されている。電撃戦的に高杉が勝ったから良いけど、武力内戦に勝っただけのような気もする。
あかねたけともそうだけれど、ここら辺から奇兵隊は高杉の命令が絶対のようではなくなっていて、高杉と同格くらいの上級武士ばっかり集めた干城隊というのを作っている。

・全然分かってなかったけどここら辺でやっぱ武器だよな~となってイギリス留学したり、開港の話が出たりグラバーと密になってきたりしている。

・おうのちゃんはお(敬称)・うのちゃんっぽい

・漫画で読んでる時は西郷隆盛が来なかったせいで桂に謝るっていうので西郷ゆるせね~~~~~!!ってなったけど、中岡慎太郎君がカード化されたお陰でリョーマくんと中岡君が桂に陳謝する、のシーンが浮かんで面白くなっている◎

・武器購入のために長州藩が薩摩の名前を使う、のシーン、ここら辺で出てきたのかぁと思う。展開が分かると面白い、西郷さんは上手い事利用されている。

・グラバーくんはリョーマくんと懇ろかと思っていたけど普通に色々売っている。

・何か読んでると薩摩・長州・坂本龍馬って感じでなんか一人だけ国じゃなくてトリックスターみたいなやつがいる

・幕府はいつの時点でも絶対強者だったので、もし本気で潰しちゃおって思ったら潰せるはずなのに、まず勅許を得る⇒妥当性を世間に判断させる⇒民意を得る⇒征伐!の順番を踏もうと、まず事情聴取して勅許を得るための材料を集めます、みたいなフェイズがあり、ひじょ~~~~に日本的である。このために時機を逸して最終的には滅ぼされる。幕府の崩壊は非常に日本的なニュアンスを含んでいる。

・近藤長次郎くん、思ったより世間体とか誇りみたいな感じで死んでいる。俊輔くんも高杉くんも褒めているので相当の人だったようだ。勿体ないがこういう人ほど責任取ってすぐ死んだりする。

・薩長同盟は龍馬が立役者!みたいな説にはちょっと…って思うけど、薩長同盟は紙面で残すと薩摩が不利になるかもしれないから文書にしなかったのを桂が不安がって紙にした後、最期薩摩にはやっぱり頼めなかったからリョーマくんが朱書きしてとりあえずOKにしたっていうの、お前何なの?感があって良い、ここは最低限信じられる大物感がある。桂は上層部に説明するときに「ホラ、リョーマ君もこの話聞いたって言ってますし」って説明したのだと思うと、誰だよ?それ?って言われなかっただけの格はあるのだと思う。

・全然知らなかったんだけど坂本龍馬の本家って「才谷屋」って言うの?

・三条実美卿の下に、戸田 雅楽(うた)さんがいるのでこれももしかしたらポピュラーな名前だったのかもしれない

・結局奇兵隊は急造の結果が祟り、大政奉還の後に悲惨な末路を辿っている。高杉くんがこの時点で死んでいるのも辛いが、ここまで読んできた感じ高杉くんは下級士官には論功行賞を上手く振ってはくれないだろうなぁと思う。
逆に桂くんの株が個人的に上がったのはここら辺で、自分たちが弱い時は徹底的に服従して、自分たちが勝てる時は無条件降伏など許さずに武力戦争をしたがる。戦略としてはそれが完璧で、武力戦争をして江戸を火の海にしておけば戊辰戦争とかは消化されていっただろうし、残存する過剰戦力などは上手く処理されて明治維新後の鬱屈とした元武士を生むことは無かっただろうと思う。明治維新までの炎の燃え上がりに対して、終結があまりにも完璧な着地過ぎたのだと感じた。これは物語であれば綺麗だけれど、その後が続いてしまう歴史では禍根を残すように思える。

3.終わりに(まとめ)
・高杉晋作は割としょうもない(思い付きで行動する)
⇒長州のカードは好きで使っているけど、読了後は思ったより長州人しょうもねぇなと思った。よけりわるけりは置いておいて激情的な長州がいたお陰で歴史は進んだ。
久坂の評価はすごく下がった。

・坂本龍馬はミステリアス(資料が少ない)
⇒長州・高杉の評価が落ちた一方で龍馬の評価は…上がらなかった。いや若干は上がったけれど、どうにも不思議な人であるという所からはあまり進まなかった気がする。なんというか逆に不思議度が上がっていて、結局何がしたかったのだろう?というまま死んでいる。
これは悪い印象ではなくて、歴史上における最後の謎のような物で、「資料が残らない+どこかに属さない+自由な発想の人間」が歴史において観測できない最後の大きな事例の一つ
であろうと思う。もうフリーメーソンでも闇の武器商人でもなんでもいい気がしてきた。


 
作成日時:2022/08/15 16:02
カテゴリ
日記
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