はい、どうもettolです。
先日オリジナルデッキケースの作り方ということで、ポリプロピレン板を使ったオリジナルデッキケース作成について記事を投稿しました。
デッキの設計自体は1年ぐらい前に終わっており、この1年は制作などに力を入れておりました。
で、第一弾のデッキケースはもちろんお気に入りなのですが、不満点がまったく無いわけではないのです。
一番使っていて思うのはカードが取り出しにくい点です。
カードを取り出すには一度ケースを傾けて入っているカードを全部出すような動きが必要になるわけです。
まぁ、これは他の市販されているデッキケースでも同じような事が言えるわけですが、この不満点を解消するようなオリジナルデッキケースを作成出来ないかなと
第一弾デッキケースの制作と並行して、思案しておりました。
今回の投稿では、第二弾のオリジナルデッキケースの試作が完成しましたので、一旦区切りとして記事を投稿いたします。
(なぜ、区切って記事を投稿するか?第一弾のデッキケースの記事が2か月たっても全然書きあがらないボリュームになってて、小分けにしないと無理だこれ!になっているからね・・・)
〇コンセプト
まず今回のコンセプトはデッキケースからカードが取り出しやすい形を目指しました。
一般的なデッキケースでは、ケースに入っているカード全体を一度取り出すとか
親指と人差し指でガバッっと摘み上げるような取り出し方が一般的かなと思います。
自分としてはデッキケースを開けたら、すぐに使いたいカードを探せる、しかも探しやすい体制にしたいと考えました。
そこで、自分が普段カードを操作する動きに着目
左手にカードの束を持ち、親指でトップのカードを順番にスライドさせて行き、右手で受け取るような動作
これは皆さんも普段からやっている動きではないでしょうか?
デッキケースを開けたら、すぐにこの動作に入れれば、ストレス無くカードを探す事が出来るのでは?
ということで、コンセプトは「カードケースに入ったまま親指送りが可能なデッキケース」に決定しました。
〇アイディア出し
で、実際にそれはどういう構造なのか?
まずカードの束があって、上方向から親指をあてて、右側へスライドしていくと考えると
ケースを開けた時には上と右は解放されてなければなりません。
つまり、蓋を開けた状態が下絵のような状態になっていればいいわけです。
4方向がケースの壁となっていれば、理想の動きは出来そうです。
で、蓋はどうするの?
という壁にぶち当たって、2か月ほど悩んでおりました。
背面の右辺を蓋のヒンジにする形(一般的なデッキケースを右に傾けるようなイメージ)も考えましたが
右手でカードをキャッチすることを考えると、ここに蓋があると非常に不都合です。
同じ理由で左側も難しい
ということは、ケースの上側か下側に蓋部品が移動する形になるのかなと考えましたが
どうにも上手くいかない・・・
ポリプロピレン板はヒンジ特性は良いものの、板そのものに剛性はあまりなく、変則的な形状にすると、そもそもデッキケースとして大切なカードを守るための堅牢さが失われてしまうと考えました。
で、そのあとも云々悩んだ末にこれならば?という1案にたどり着きました。
それが2つにパーツを完全に分ける方法です。
下絵のように類似したパーツを2つ用意して上部と下部に磁石で固定すれば
蓋をしている時は一つの立方体になりカードを保護し
蓋を開けた時にはスライド取り出しが可能な受け側が残るという感じです。
ただ、これにも問題があります。
ポリプロピレンは薄い板であるため、どうしても歪みが発生します。
そうなると、蓋と受け側の間に歪が生じることとなり、最悪ケースからカードが零れ落ちるなんてことになりかねません。
カードを取り出しやすい機能が成立したとしても、そもそものカードケースの本分がおろそかになってしまっては意味がありません。
と、ここでettolに電流走る
アクリル板を使えば良いのでは?
〇設計
アクリル板を使えば多少板は厚いですが、剛性の強いデッキケースにすることが出来ます。
ポリプロピレン板では歪みが発生する形状でも、しっかりした形を維持することが可能そうです。
また、アクリル板はレーザー加工機で設計した形状通りに切断することも可能です。
最近流行しているアクスタは、このレーザー加工機で作られる場合が多いのです。
奇遇ですが、私の住んでいる地域で、レーザー加工機を時間貸ししてくれる店舗を知っていたため
設計図面をデータで作成して、それを店舗に持ち込みアクリル板を切り出してみる方法を考えました。
(ちなみにこのお店にレーザー加工機があるのを知っていたのは、第一弾のデッキケースでUV印刷機のレンタルを探しまくっていた時に把握していたからです。)
レーザー加工機はillustratorでデザインされた画像データを元に切り出しを行うということです。
つまり
①自宅でCADデータを使っておおよその設計を行う。
②キンコーズのPCレンタルでillustratorでその設計をaiデータに移し替える(移し替えると言っても全部手動ですが)
③作成したデータを持ち込み、レーザー加工機で施工
という順番になります。
まずはおおよその設計から
と、こういう感じで設計してみました。
凸凹を配置することで、強度が増すのでは?と考えましたが
凸凹のサイズはまったく同じにしているため、レーザーで切り取る幅の分は考慮されていない・・・
まぁ、まずはやってみて、それから設計も修正していけばいいかなと
で、次に休日にキンコーズへ向かい、PCをレンタルしてillustratorにこの図面を再現していきました。
多分、illusutratorはキンコーズで借りるのが一番楽なのかな?と
他でadobe製品が使えるPCを使用させてくれるサービスを展開しているところもあるかもしれませんが・・・
私の住んでいる地域では他に見当たりませんでした。
(工業大学とか高校とかの学生だと、学校によっては自由に使える設備を用意していたりするので、学生であればそういう設備を使うのが一番良いでしょう。)
初めて触るillustratorで四苦八苦したのですが、操作はあくまで線を引くだけなので、1時間程度で作業が終了しました。
ちなみにこれで大体1300円ぐらいの利用料でした。
illustratorを1か月購入して正規料金払う事と比べれば・・・・ずいぶんお安いのではないでしょうか。
さて、そうして完成したデータをUSBメモリに入れ、いよいよレーザー加工機を使用しにお店へ向かいました。
一言にレーザー加工機と言ってもメーカーや機種は多数あります。
事前にお店が設置しているレーザー加工機の機種を調べ、メーカーサイトの資料を読み漁り、操作手順などを頭に叩き込んでいきました。
まぁ、それでも、実際に触ってみない事には分からない事が沢山あるので、不安は尽きないのですが・・・
という事で、レーザー加工機の前に到着。お店の人から簡単なレクチャーを受けて、後は何かあればマニュアルを読んでくださいとのこと。
(ちなみに、置いてあったマニュアルはメーカーサイトで自分が読み漁った資料と同じものでした。)
レンタルした時間は1時間
このお店では30分2500円で貸出なので、5000円を支払いました。
1時間1本マッチ!開始!
レーザー加工機の横に設置してあるパソコンでデータを読み込み、いざ加工
(ちなみに実際にはレーザー加工機側のソフトウェア設定作業があり、この設定で20分ぐらい時間が溶けました。)
(設定とは、今回加工する素材は何か、レーザーの出力は、速度は、周波数は、そういった数値を素材に合わせて事前に設定する必要があります。)
まずはよくわからないので、レーザー出力は100%で試してみました。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
アクリルが溶ける匂いと共に、思った以上に高速で切断されていくアクリル板(大体画像の感じで3分ほど)
ディスプレイに表示されていた自分の設計が、まさに目の前に召喚されていく様は中々興奮しますね
ということで、まずは1つ目が完成
出力100%だと、厚さ3mmのアクリルはしっかり切断出来ているようです。
しかし、出力が逆に高すぎるのか、切断面以外の箇所にも若干熱でまだら模様が浮かぶ感じになっていました。
後で知る事になりますが、素材を支えているハニカム構造の土台ですが
この土台にアクリルを直置きしてレーザー加工を行い、更に出力が適正以上に強い場合、貫通したレーザーがハニカム構造にあたり
土台自体が熱を持ったり、土台から反射したレーザーが切断面周辺に影響を与えてしまうとのことです。
なので、こういう時には板を土台から均一に浮かび上がらせる、支えブロックのようなものが必要なのだそうです
実際にアクスタを制作している会社の動画などを見ると、浮かせる部材を配置しているのが見受けられますね
(勉強になるねぇ)
1つ目が完成したので、次は出力を60%にして実験開始
・・・ところが、この出力60%は3mmのアクリルを切断することが出来ず、大きな溝だけ掘られた状態で終了しました。
うーん、失敗ですが、こういう失敗も大事なことですね。
ということで3つ目は出力を80%にして挑戦
こちらは上手に切断することが出来ました。
3mmのアクリルはおそらく80%程度の出力が最適なようですね
ここで、ちょうど1時間が経過し、最初の試作は終了しました。
切断した部材をその場で組み合わせてみましたが、予想していた通り、レーザー切断の幅を考慮していない設計だったので、凸凹は上手く収まりはしますが
差し込んで固定出来る、程にはキツキツにはなってない感じでしたね。
(少し触っただけで崩壊するほどゆるゆるです)
おそらくレーザーは0.1mm程度の溝を作るという前提で設計を見直す必要がありそうですね。
さっそく家に帰って、アクリル接着剤を使用してパーツを接着していきます。
ところが、このアクリル用接着剤がなかなかの曲者でした
アクリル接着剤は一般的な接着剤とは違い、アクリルを溶解させて溶けたアクリル同士を結合させるという仕組みらしいです。
揮発性も高く、注射器のような針で注いでいくのですが、これが本当に難しい
接着剤が意図しない場所に付着しようものなら、その部分が溶解を始めてしまうため、適当に施工すると命取りということが分かりました。
事前の準備と練習が本当に重要ですね
一般的な接着剤のように、失敗したら拭き取れば良いみたいな軽い気持ちでやると痛い目みますね。
ということで、接着面はボロボロ、表面はレーザーの反射でボロボロの試作第一弾が完成しました。
当初はこの形からUV印刷などでイラストを印刷することを考えていたのですが・・・
これはこれで、いい感じですね。
特に透明アクリルで中のカードが見れる事から
鑑賞用のアクリルケースのような感じで飾る事も可能です。
磁石の接着も良く、当初のコンセプトであるカードを取り出す動きも想定通りです。
(ただし、アクリルの厚さやデッキケースの厚さもあって、若干送り出し動作がしにくいですね。このあたりは今後設計を調整していこうと思います。9
カードを取り出す機能性とカードを外から鑑賞するデザイン性が両立できそうな可能性を感じる試作となりました。
今後は以下の様な改善を進め、2回目の試作へと進みたいですね。
・厚さ2mmのアクリルでも強度が保てるか試作してみる
・内寸の高さがカードギリギリのため収納がしにくい、内寸高さ+5mm、7.5mm、10mmを試してみる
・内寸の深さを20mmにしていたが、若干厚すぎる。15mm程度を試作してみる。
・レーザー幅を考慮した設計に改める
・組み立てた後の凸凹部分の手触りが悪いので、ヤスリ掛けしたい。リューター導入を検討する。
・完成したアクリルの角はかなり痛いので、面取りが必要。(やはりリューター導入が必須かも)
・色付きアクリルでも試作してみる。
・色付きアクリルと透過アクリルの組み合わせも検討
・レーザー加工時に部材を浮かせる方法を検討する
などなど、まだまだ書ききれないほど改善点や試行案があるので、完成形に向けてちょっとずつやっていきたいですね。
この記事投稿が、皆様の何かの参考になれば幸いです。
では、2回目の試作が終了したころにまた記事を投稿してみようと思います。
ここまで、お読みくださりありがとうございました。
前回もでしたが、今回もかなり本格的なものができそうで凄いですね。
次のデッキケースづくり投稿も楽しみにしています。