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初心者向けの『三国志』Part1―――伯炎の考察その2

by
松林伯炎
松林伯炎
こんばんは、伯炎です。

今回は、物語としての『三国志』について考察します。

『三国志』は、英傑大戦をやっている方はよくご存知だと存じだと思います

ご存知じゃない方のために、2行で解説します。

・西暦180年~280年までの100年間の中国の歴史
・後漢という王朝が崩壊(180年~220年)→後継者として魏・呉・蜀の3つの国が名乗りを上げる(これが三国時代。220年~265年)→結局、三国とも崩壊して、晋という王朝が成立(265年~280年)


大体こう↑です。
はっきり言いますが、世界史として見た時の歴史的な重みはかなり薄いです。
全世界に影響を与えた!! みたいなのは、あまりありません。

はぁ!? と。
こんな意味のない歴史が、どうしてみんな好きなんだと!!

これには、味付けがございます。
簡単に言えば、いま話したのは、手羽先の骨の部分
美味しいのは肉でしょ。
でも、骨がなければ肉はできないわけでして。

この、晋王朝以後の中国の歴史は悲惨です。
ザックリと書きますと……

・晋はすぐ崩壊。反乱が起きまくるうえに、外国人が侵略してくる。(八王の乱&永嘉の乱)
・色々あって隋が中国統一(※ただし、国のトップは中国人ではない)

外国人が侵略してくる、というのは大きなダメージがあったみたいです。
「晋が三国を倒したけれど、晋の皇帝は間違っていたんじゃないのか?
本当に正しいのは、晋の皇帝じゃなかったんじゃないの?」
という疑問が起こったわけです。

そこで調べると、「魏・呉・蜀の三国のうち、本当に正しいのは、蜀だったんじゃないの」という声が上がって来たワケです。
(何で蜀が正しいの? と思う方は、調べてみてください。すぐ分かります)

こうして、「本当の三国志の物語」を創ろう! という声が高まります。
「蜀」は、ご存知だと思いますが、劉備を皇帝とした国です。

そして、色々な物語が、初めは口頭で伝えられていきます。(口承文学・説話文学とも言います)
そのうち、「これを全部、物語にしよう!」とまとめました。
それが、『三国志平話』です。
主人公は、劉備! そして諸葛孔明!
(日本なら、『平家物語』が、この成立とかなり近しいです)

ただし、この『三国志平話』は、魔法が出て来る、などの嘘が多いです。
そのため、もっとリアルな物語が求められました。

こうして、新しく作り直されたのが、『三国志演義』でした。

いま存在する「三国志」の物語の多くは、この『三国志演義』が基になっている作品が数多くあります。

この『三国志演義』の完成を基にして、全世界に物語としての『三国志』が広がっていきます。


もう少し簡単にまとめますと、要は「バッドエンドの物語」なんですよ!
主人公の劉備と諸葛孔明は、結局、夢が叶わず、失敗して死ぬんですね。

だが、それがいい。

そこに、多くの読者が共感した。
努力をして、失敗して、失意のうちに死す。それが、多くのファンを生んだんですね。
単なる成功譚ではない、というワケです。

結果として、蜀は早々に滅亡し、晋の王朝が成立します。

長くなりましたが……
これが!!
歴史としての『三国志』と、
物語としての『三国志』なワケです!

こうした、「バッドエンドの物語」が、日本にも受容され、新しい物語を生んでいきます。

日本の場合……
特に江戸時代に流行した『通俗三国志』は、『三国志演義』を、そのまま日本語訳した物語です。
(全51巻の大長編。調べたら、1月に2冊のペースで販売されていました笑)
これをきっかけに大ヒット。

歌舞伎や講談にも三国志が登場するようになります。

そして吉川英治の『三国志』(1946年)
更に上記の事実上のマンガ版・横山光輝の『三国志』(1971年)

特にこのツートップが、日本の『三国志』ブームの強い火付け役となりました。

これらの影響を受け、小説や漫画のみならず、ゲームにも及び、
『三国志大戦』(2005年)が稼働するワケですねー。

我々はこうして、『三国志』を知るところとなるワケです。

……以上が、プロローグです。

いや、まだまだ語りたいことがあるんですって笑
まだ語ってないんですよ。

この『三国志』には、大きな欠陥があるんです。

それは、また次回に書こうと思います……笑

以上、伯炎の考察その2、でした!!
次回は「初心者向けの『三国志』Part2」、「『三国志』の"欠陥"」について。
気が向いたら書きます笑


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
コメントには積極的に返信いたしますので、ぜひ書き込んでください。
作成日時:2022/03/30 18:02
カテゴリ
雑談・雑感
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