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きらきらひかる宝石たちよ・後編(小話つき)

by
劉龍華
劉龍華
前回に引き続き、宝石に関するあれこれを綴って参ります。


【翠玉】
戦器効果:増援(レベルMAXで兵力+10%)





琥珀の次に選ばれる事が多いこの宝石は、「エメラルド/Emerald」の事です。
ベリル(緑柱石)という石の変種で、ベリルにクロム(又はバナジウム)が混ざると緑色に変色し、これがエメラルドと呼ばれます。
このベリル、混ざる物質でさまざまな色に変化する石で、鉄が混ざるとアクアマリン(水色)、マンガンだとモルガナイト(ピンク)、ベリリウムとアルミニウムだとレッドベリル(濃い赤)と、玉藻前もビックリな変化ぶりです。

内部に細かい傷が多く発生するのが特徴。
これは「インクルージョン(内包物)」と呼ばれるもので、鉱物結晶や岩石の中に含まれる別の物質の結晶や断片のこと。
一般的に「インクルージョンのないエメラルドはない」と言われますが、インクルージョンの他にヒビ割れ(クラックとも言います)も多いので、そのままでは加工に耐えられません。
オイルや樹脂を染み込ませてヒビの補修をしたり、石の耐久度を上げてからが本番。
加工の仕方で、一条の光が石の表面に表れる「エメラルドキャッツアイ」や、星形の光になる「スターエメラルド」に変身します🐱❇️
ちなみに補修作業が下手だと、オイルが揮発して石が見るも無惨な状態になる事もあるそうな😱

主な産地はコロンビア、ブラジル、ザンビア。
特にコロンビアは最大の産出国で、産出量は世界全体の50%以上を占めていると言われています。


【黄水晶】
戦器効果:知力+2(レベル上昇で効果時間延長)

【紫石英】
戦器効果:敵の移動速度0.8倍(レベル上昇で効果時間延長)


  


黄水晶は「シトリン/Citrine」、紫石英は「アメシスト(アメジスト)/Amethyst」の事。
どちらも石英(クォーツ/Quartz)が基になる宝石で、代表的なクォーツは水晶です🔮
綺麗な六角形に結晶化したものを水晶、二酸化ケイ素がただ固まったものは石英と呼びます。
石英は地球上で最も多く存在している鉱石のため、宝石よりは希少価値が下がりますが、その分値段もお求めやすくなっています。

シトリンは黄水晶の名の通り、淡い黄色から黄褐色が特徴。
その色から昔はトパーズ(Topaz)と間違えられて、代用品にされたりバッタもん扱いされた事もある、少々気の毒な石です。
シトリン「古傷をえぐるな💢」
主な産地はブラジル、インド、スコットランド、フランスなど世界各地に及び、山梨県が産地だった事もあるようです。
ただし天然石はほとんど採れず、石英仲間のアメシストやスモーキークォーツ(Smoky quartz)を加熱処理し、黄色に変色させたものが流通しています。

「アメスト…あれ、アメストじゃないの?」
と首を傾げたくなりますが、言語の発音に従うと「アメスト」の方がより正確のようです。スペル見るまで気付かんかった…( ̄▽ ̄;)
紛らわしい名前はギリシャ語の「amethutos/酔っていない」が由来ですが、ギリシャ神話にはアメシスト誕生にまつわるとんでもねえエピソードがあります。


 昔々、アメシストという名の少女がおりました。
 アメシストは月の女神アルテミスに仕えていましたが、ある時アメシストを見かけた酒の神ディオニュソスが、イタズラ半分で自分の虎を彼女にけしかけたのです。
 虎に襲われそうになったアメシストはアルテミスに祈り、アルテミスは彼女を白い水晶に姿を変えました。
 ディオニュソスは己の行動を涙を流して悔い、持っていたブドウ酒を水晶に垂らしました。
 すると、白い水晶は鮮やかな紫色へと変わり、以後その石は少女の名を冠するようになったのです。



…いやこれアメシストさん、何も悪い事してないのに散々な目に遭ってますよね?
ディオニュソス、よくアルテミスにシバかれなかったな…🏹

とんでもエピソードから生まれたらしい紫色は、水晶に含まれる微量の鉄が自然放射線を受けたために変色したものです。
直射日光に当てると色褪せてしまうので、保管場所には要注意。
主な産地はブラジル、インド、ロシア、マダガスカルなど、こちらも世界各地に及んでいます。

ちなみに山梨県は、日本でも屈指の水晶の産出地。
このお陰で工芸品や装飾品の加工技術が発展し、山梨県は今日まで宝飾の街と呼ばれているそうです。


前後編に渡って宝石の特徴や逸話を語って参りましたが、調べてみたら初めて知る事だらけでした。図書館通いしたのも久しぶりです。
どうにか纏められたので、後は小話でm


バサラちゃん「待て待て待てー!肝心な石の話をしてないだろ!」


おっと、もう1つ忘れていました。
それは次回、おまけという形で書きたいと思います。


【石のおもひで2/緋勢力・山県昌景と誰かさん】

~幼き日の事でございます~

?「おい、そこのおチビ。何しょぼくれてる」
山県「おチビじゃない、飯富源四郎だ。お前こそ誰だ」
?「俺か?まあ太郎とでも呼んでくれ。で、飯富虎昌の弟がどうした」
山県「兄者を知ってるのか?」
太郎「お前の兄ちゃんは猛将で有名だからな。お前も将来、武士になるつもりだろう?」
山県「……なれねえよ。お前の言う通りおチビだし、痩せっぽちだし、髪の色もこんなだし」
太郎「うーん……まあ、諦めてウジウジ言ってる時点で無理だわな。お前と兄ちゃんじゃ力も体格も違うんだから、そもそも比べても仕方ない」
山県「う"っ」
太郎「だから、お前にしかない得意な所を、鍛えて磨いて武器にするんだよ。意地の悪い連中が参りました!って平伏するくらいにな」
山県「俺にしかない得意な所って言われても…どうすればいいんだよ」
太郎「それは俺にもわからん。お前が自分で鍛え抜いて、考え抜いて答えを出さなきゃ意味がないからな」
山県「……」
太郎「まずは真剣に、学問や武術に励んでみろ。で、悩んだり落ち込んだりしたら、これを見て俺の話でも思い出せ」
山県「わぁ…キラキラしてきれいだな!」
太郎「水晶っていう石のお守りだ。邪気を払い、心を鎮めてくれる力がある。お前にやるよ」
山県「え!こんな高そうな物もらえない!💦」
太郎「いいから持ってけ。あとお前の髪、別に変な色じゃないぞ。陽に当たったら水晶みたいにキラキラしそうだし、獅子のたてがみみたいで強そうだ」
山県「! …太郎で三人目だ。この髪を褒めてくれたの」
太郎「そうか。じゃあ兄ちゃんと俺と、あと一人誰か知らんがそいつの言ってる事は正しい。信じろ。で、将来は俺に仕えて支えてくれ」
山県「おう!😄」

源四郎少年を勇気づけてくれた太郎さんは、↓な人だったそうです。









【参考文献】

○『宝石・鉱石おもしろガイド』
 辰尾良二著、築地書館株式会社発行、2004年8月20日初版発行

○『天然石のエンサイクロペディア』
 飯田孝一著、株式会社亥辰舎発行、2011年2月19日第1刷発行

○『ネイチャーガイド・シリーズ 宝石』
 ロナルド・ルイス・ボネウィッツ文、伊藤伸子訳、株式会社化学同人発行、2015年6月1日第1刷発行

○『ときめく鉱物図鑑』
 山と溪谷社編者、株式会社山と溪谷社発行、2021年8月1日初版第1刷発行
作成日時:2024/11/26 22:30
カテゴリ
雑談・雑感
コメント( 4 )
4件のコメントを全て表示する
劉龍華
劉龍華
11月27日 12時41分

》Chaosさん
前回に続き、詳細な補足ありがとうございます!
やはり生業にされている方は知識量が違う📚
モース硬度は傷の付きにくさを表しているそうなので、傷つきにくい=割れにくいではないみたいですね。
戦争や内戦、他国の経済政策か影響を及ぼすこともあるみたいですし、本物の宝石はお店のショーケースで眺めるのみになりそうです😅

Chaos
さくま
文士
文士
さくま
11月27日 14時13分

宝石の輝きって神秘的なのでまだ科学的に分析すること方法なんてなかった時代に神様が作ったものと考えた昔の人たちの気持ちわかります。
前回に続き劉龍華さんの学ぶ姿勢と楽しく伝える方法凄いなって思いました♪
劉龍華さんがChaosさんと直接お会いしてお話する機会があれば参考文献Chaosさんで宝石を擬人化した楽しい小話お願いします(笑)

劉龍華
劉龍華
劉龍華
11月27日 18時20分

》さくまさん
水晶の形やルビーの赤さは、昔の人からすれば神の奇跡ですよね。水晶にはハート型の物もありますし。
子供の頃から気になる事は追求する質なので、根っからのオタク気質なんだと思います😅
宝石の小話…ちょっと考えてみます🤔

さくま
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