「ふぅーむ・・・
「・・・・・・・・
「ほぅほぅ、これはなんとも・・・
「・・・さっきから我の鎧をじろじろ見おって・・・貴様、何のつもりだ?
「ほっほっほ、いや何、流石はかの人中の呂布と呼ばれたお方だと思いましてな!
やはり豪の者が着ておられる鎧は威厳に溢れております!
「ふん、当たり前だ。この世で我より強い者は存在しない。
「確かに、武で競うならばあなたは古今無双でしょうな。
ですが・・・儂は国の主。それ以外の強さも知っております。
「国の主か、劉備や曹操もそうだったな。
だが、民は常に強き者に従えばいい、そうは思わんか?
「あなたの時代で言うならば、確かにそれもひとつの理でしょう・・・
ですが、それで民を従えるというのは、一つの”縄”なのですよ。
「どういう事だ、我は民を縛った覚えなどないぞ。
「己の武で民を従わせるのは、言う事を聞かぬ獣を縛り付けると同義・・・
あなた以外の人間は何も動けず、ただ命令を聞くだけの存在となるのです。覚えはありませぬか?
「ふん、そんな事で我を貶めるつもりなら無駄だ。
我は民の存在など考えた事もない。乱世にただ一つ、我の武があればよいのだ。
それこそが、我が呂布たる証拠となるのだからな。
「なるほど・・・いや失礼しました。やはりあなたはお強い。
ひとつの武の頂点に立っただけはある!
「が、しかし・・・儂はあなたのように武という物は持ち合わせておりません。
それでも儂は、強いと言われるのですよ?
「・・・どういう事だ。
「敬親様!・・・あ、お話し中でしたか、失礼しました。
「ほっほ、なんじゃなんじゃ、遠慮なく言うてみぃ。
「は、はい!周布様から今度の貿易案を頂いたのですが・・・
「ほっほっほ、周布に伝えておけ、「そうせい」とな。
「分かりました!そのように伝えておきます!
「・・・なんださっきの対応は。貴様、仮にも一国の主だろう。
「ほっほっほ、いかにもそうですなぁ。
「敬親様ー!桂様が三日後に京へ行かれるそうですが・・・
「おぉ構わん、そうせいそうせい♪
「分かりましたー!
「・・・・・・・・・
「これで分かりましたかの?儂は昔から「そうせい侯」と呼ばれておりましてな・・・
「部下に対して、たったそれだけで済ませているのか?意味が分からぬ・・・
それでは無能な輩に全てを投げているようなものではないか!
「ほっほっほ、この長州に無能者はおりませぬよ。
・・・もっとも、儂がそうかもしれませんがのぅ。
「・・・・・・そうか。
貴様、部下からそこまで信頼されておるのか。
「儂に付き従う者はみな儂をよくしてくれます・・・
これもひとつの”強さ”なのかもしれませんのぅ♪
END
さっそくの力作ありがとうございます!
>>> 安定のわらびもちさん
コメントありがとうございます!
時代ごとに変わる強さというものををテーマにして書いてみました。