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新選組伝 三章所感

by
桜井華奈
桜井華奈
いつもの

新選組伝 三章終わりました。
感想まとめ:https://taisengumi.jp/posts/173935


以下感想
全体的に土方歳三伝って感じであった。英傑大戦の土方像が好きな人ほどこの群雄伝も好きそう。私は苦手でした。

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【物語】

不穏分子の本格排除~鳥羽伏見くらいまで

前述の通り、基本的に土方視点。言い方を変えると、土方のエゴが是として進んでいく。
なので、土方の新選組への思いとか、逆に周りから土方がどう思われているかとかの描写が多かった。
そういった点も含めて土方が好きな人は楽しめそう。

気になった点としては(江戸幕末系群雄伝特有なのかは分からないけど)、「いや、そうはならんやろ」みたいな展開をチラホラ感じた。
けどまあ、そういったところも含めてこの章のチャームポイントなのかもしれない。


伊東甲子太郎周りについては勉強不足なので、この群雄伝が学びの初歩だった。
イメージ的に最後まで新選組に立ちふさがり続けるライバル的組織のリーダーだと勝手に思っていただけに退場の仕方が結構アッサリで驚いた。(まあ三章を読み終えてから振り返ると立ちふさがり続けるライバルって解釈もあながち間違いでもないか。)
こう、伊東甲子太郎は作中での大物感演出が凄いんですよね。「すべては我が手中」的な。そういった人物像からの最期の転落はなんとも言えない哀愁を感じた。最期まで格を落とさなかった芹沢鴨の評価がドンドン上がってしまう。
ただ、三章を最後まで読むと再評価路線みたいになったので、死に様含めて良い立ち位置なのかな~って感想。


油小路は名前だけ知ってたけど、読んだ感じ本群雄伝の最大の見せ場はココかな~って感じした。実際面白かったし。
私がバトル物の読み物で評価する点は基本的に「シリアスシーンにギャグをよぎらせない」ことと「敵サイドに魅力を持たせる」ことなんですが、この話はそれが最大限に行われていた。新選組伝一章の対芹沢鴨戦も同じような感じ。芹沢鴨の評価がドンドン上がってしまう。
両者の思惑とか決死の思いとか、少年漫画的熱さが充満していたこの話は好きな人多いと思う。滅びの美も感じます。
まあ新選組というか御陵衛士視点だからちょっと外伝的な評価ではあるけれど。



鳥羽伏見に入るとトコトン新選組が負け続けるので中々に書くことが無い。
徳川慶喜が諦めなければ...みたいな描写ではあったけど、果たして...


8話で近藤の心が折れるシーンは結構印象深い。それこそこの章が土方歳三伝たる極地って感じ。
結局近藤と土方で新選組という組織に対する認識が手段なのか目的なのかが合致していないのもこの章の見返しポイント。
4話で土方が伊東甲子太郎に放った「夢を見ているのはお前だけ」ってセリフがとんでもない威力で返ってきた。

その結果、近藤の投降に対しても否定的で(まあ問題はここじゃないけど)、近藤を縛り付けているのは土方自身なんだよねっていう。
「俺の中の近藤勇はこんなところで死なない」理論、少年漫画で考えるとすごく熱いんだけど、状況と近藤の心情を鑑みるとあまりに非情でエゴ。
実際は君の「アイドル」の電波少女には僕らの居場所なんてないのかもね。

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【キャラクター】

苦手なキャラクターを書いてもしょうがないので、好みだったキャラクターを挙げていく。
山崎丞、吉村貫一郎、大石鍬次郎。この三人は好みだった。


山崎は上記の中だと古株なので比較的土方肩入れ側なんだけど、それにしては結構フラットで良い印象。フラットというか、土方の行為に対して結構疑問を持っている側って感じ。じゃあ伊東甲子太郎もこの枠じゃないの?って感じもするけど、あくまでも山崎は土方側でこの立ち位置ってところが良かった。後の方になると永倉とかも疑問を持つ側になるんだけど、早い段階からこの立ち位置なのは好み。
あとは土方の性格に丸みを持たせることができるって点でも良かった。土方が冗談を言ってるシーンって基本的に山崎にしかなかった気がするし。


吉村と大石はセットかな。
3話での人斬り行為に差はないってやり取りは作品問わず好きなテーマだったので、閑話休題感覚で出されて良いよぉ~って感じ。
新選組に対するパブリックイメージって結局はドロドロのソレだと思うので、「俺たちがやってる事は正しくはない」って主張は「新選組こそが俺たちの正義」とする土方伝(仮)でするには結構勇気要るな~って部分もセット。ヨシカンくん好きなんだ...🤗

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【雑記】

群雄伝クリア報酬(称号)が「伊東一派」なのはちょっと笑った。あんまり嬉しくないな!


藤崎竜封神演義で義務教育を終えたので、油小路の永倉新八vs藤堂平助は(細部こそ違えど)「これ紂王と黄天化のやつじゃん!!!!!」ってなった。
ただ、油小路題材の作品だったりwiki読んだりしたら群雄伝でのオリジナル展開ではなく、その通りらしいので忠実なだけだった;;同志の気配を感じた気がしたのに...

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【最後に】
ちょこちょこ書いてるけど土方歳三伝。

江戸幕末系の群雄伝は主人公が活躍する描写を強調させたいが為に敵役が小物化しがちなのはこの章もあまり変わらなかった。
ただ、上述の流れはあくまでも主人公に追い風が吹いている時のみ適用されるので、戊辰戦争からは中々に読んでて苦しい(息が詰まるとでもいうべきか)ものはあった。基本敵が小物にならない。
(あまり詳しくはないけど)立見尚文とかが絡まないと基本的に読んでてもジメジメした展開が四章以降も続くのかな~って思いました。
明るくて熱いキャラクターが現状のカードプールに存在していない気がするので、なんかくれ!

まあ総じて英傑大戦の土方歳三像が好みで深く知りたいならぜひ読むべきなのかな。
ちょうど今アニメで青のミブロがやってますし色々な土方像との見比べも兼ねてみるのも面白いのかも。

 
更新日時:2024/10/26 17:29
(作成日時:2024/10/26 17:20)
カテゴリ
雑談・雑感
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