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Ver.2.5.0A以降の英傑大戦が抱えるインフレ問題に関する一考察 『適正士気の崩壊論』 前編

by
伸逸
伸逸
 この記事は前回の『英傑大戦の現在のマッチング制度が抱える欠陥に関する一考察』と同様、著者が英傑大戦に抱える不満を言語化し自らの思考を整理するという目的の下書いたマイナス意見の煮凝りです。「このような意見があるんだぞ」というスタンスの下進めていくこと、どうぞご理解ください。


はじめに
 
九月中旬に実施された大型バージョンアップにおいて追加された目玉カードと戦器が、環境を騒がせている。即ち「計略のパワーが余りにも高すぎ」、かつ「英魂効果が余りにも強すぎ」るのである。かくいう著者も、知力戦闘・乱戦時攻城の幸村に叩きのめされ、その理不尽さを痛感した。

 対戦した当初は目に見える理不尽さに怒り心頭になったが、落ち着いて今回の大型バージョンアップ調整に関して考えを巡らせてみると、現在の環境が抱える宿痾はただカードが強いだけでは済まされない、根が深い問題なのではないかという思考に行き着いた。そして考え出したのが、記事のタイトルにもなっている『適正士気の崩壊論』だ。今回は英傑大戦の根幹である『士気』というシステムを切り口に、英傑大戦というカードゲームの今後について考えていきたい。


①そもそも適正士気って何?
 
士気という観点から物事を語っていくことを先に述べたが、そもそも適正士気とは何なのか。これについての著者の意見を、まず皆様に説明させていただきたい。

 適正士気とは「ある一定の武力上昇値、あるいは追加効果をたたき出すために必要な、適正な士気の量」である。

 さすがに文章だけで説明するのはほぼ不可能なので、自分が適切だと思う例を挙げつつより詳細な説明をしていくことにしよう。



 ここに挙げた2枚のカードの計略は、いずれも士気6の号令だ。氏政は武力上昇値+5で、5部隊が効果を受けたとき武力ダメージ減少というオマケがつく。一方容保は武力上昇値+6で攻城力強化という強力な効果だが、ダメージを受けるというデメリットがついてくる。
 
 ここで重要なのが「武力上昇値+5を号令でたたき出すためには最低士気6が必要である」「士気6で武力上昇値+6プラスアルファをたたき出すためには何らかのデメリットが必要になる」という認識だ。
 この認識が根底にある限り、士気6号令のカードが100枚増えようが、必ずどこかで計略のバランスがとれるようになる。実際、現在英傑大戦に存在する士気6号令の中に明らかに突出したカードパワーをもつ者はいない(ように思われる)。項梁や家茂のような例外も、環境を騒がせた後下方修正を受け落ち着いた性能となった。

 この認識こそが『適正士気』という考えである。換言してしまえば、「武力上昇値や追加効果からその計略にて使用すべき士気を逆算する」とでもなるだろうか。適正な士気をカード間ですり合わせることにより突出しすぎたカードの登場を防ぐという考えを、うまいこと実行できているのが、例に挙げた士気6号令ということに、少なくとも筆者の認識ではなる。


②現在のカードデザイン
 
それを踏まえたうえで、現在環境を騒がせているカードの中で、この『適正士気』という考えを完全に無視している(と、著者は思っている)カードの代表例である真田幸村を見てみよう。

 このカードの問題点は『そもそも士気5が許されていい計略パワーか怪しいこと』『それが強力な短計効果との相乗効果によって二倍ぶっ壊れていること』である。

 まず士気5の単体強化の例として芹沢鴨を挙げよう。

 武力上昇値+8に加えて有用な追加効果を軽い士気でたたき出せる反面、自城へのダメージで釣り合いをとったという形になる。幸村が武力上昇値+8を出すためにはデッキをケニアにしなければならず一般的な4枚構成なら上昇値は+7にとどまる。あくまで士気5だけという枠で比較した場合、瞬間的なぶつかり合いにおいては芹沢に分があるという形になる。  
 
 だが、芹沢の効果時間は8.3Cなのに対し、幸村の効果時間は11C以上ある。しかも斬撃のリロード中あるいは乱戦されると兵種アクションを封じられる芹澤はその効果時間いっぱい強みを押し付けられるわけではない。

 そして比較的長い効果時間の単体強化が、短計により回復かつ全体強化に変化する、というのが幸村を問題児たらしめている二つ目の効果である。例えば琥號のような、強力な効果を発揮できる代わりにそれなり以上の準備と弱い時間帯を必要とする計略と違い、こいつが強力な短計効果を発揮する際の必要最低条件は僅か士気5である。このゲームに士気2で回復効果付き武力上昇+4計略など存在しないし、よしんば士気7であっても武力上昇値+10を繰り出す計略は強制撤退というキツいデメリットを背負った孫堅か劉備ぐらいしかいない。しかも士気9ですら+10たたき出すのは渾身持ちの足利尊氏くらいしかいないのだ(最もすべての例が単体強化ではなく号令なので単純比較は出来ないが)。

 とまぁ、ここまで散々語ってきたが、このカードにも当然下方は入るだろうし、カードゲームである以上インフレは避けられないのも無論ではある。下方次第では「まぁ許容範囲だよね」という効果に落ち着く可能性も普通にあるのだ。

 だが、ここで話は終わらない。『適正士気』という論理を完全にぶっ壊している最大の宿痾、「宝石の英魂効果」について触れなければならないだろう。
 
 ただ申し訳ないことに、あまりにも文章が冗長かつ複雑になってしまった。筆者は自分で書いた文章を何度も見返して修正する必要がある悪分家なので、誤字脱字の修正を容易ならしめるため、ここでいったん文章を区切らせていただきたい。
 ここでいただいたコメントや修正すべき点に関しては、後編にて極力返信するよう努める次第ですので、どうぞご容赦を。
                                                                                
更新日時:2024/10/04 02:48
(作成日時:2024/10/01 01:02)
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