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新・漫画の話#10 だんドーン

by
楊狐
文士
文士
楊狐
月に一度の漫画紹介!



自分ルール六条

一、英傑大戦の武将当人あるいは関連、所縁の人物が漫画作中に登場している。

英傑大戦に参戦しいる武将を題材にした作品を主に紹介していこうと思います。


二、漫画での主人公、協力者、敵役など。作中での役割は特に問わない。
ちょい役でも劇中に出ていればOKにしましょう(判定が緩い)


三、自分が実際に購入し作品を所有していること。
何処かで無料で読んだというのは無し。必ずきちんと購入して読んで行こうと思います。
すでに所有している作品紹介も兼ねていこうと考えていますので、過去に漫画紹介されている投稿者の方と内容が被るかもしれませんが、そのあたりはご容赦ください。



四、現在コラボされている作品はあえて扱わないこと。
公式ですでにコラボされているので割愛しようと思います。


五、月に一度、必ず投稿すること。
投稿するタイミングは月の何処でも良し。ただし、いかなる状況でも必ず投稿すること。
過去に挫折した年があったため。主に漫画のネタが切れたことが原因です。


六、英傑大戦の武将から著しく離れる作品は扱わないこと。
特殊枠は無しにしましょう。必ず武将が出てくる作品にすること。



今回の作品はこちら!








だんドーン

著者:泰三子
出版社:講談社
レーベル:モーニングKC

あらすじ
劇変、激動の時代、幕末ーーー。
ギリで武士の川路正之進(後の川路利良)は薩摩のお殿様、
斉彬公に”太鼓の達人”として一目置かれ、お仕えするなか、
黒目がデカくて感情が全くわからない男、
西郷吉之助(後の西郷隆盛)と出会う。
江戸の藩邸では「空気が読めない奴」と西郷は浮いていたが、
お殿様は嘘がつけない真っ正直な彼がお気に入り!
川路は純真だけど規格外すぎる西郷とともに
「密命」につくことになるが……!?


「平穏な世」を創るため、ひっそり隠れて
しかし、
しっかりと”仕事”をした男ーーー
後に
「日本警察の父」となる
川路利良を描く本格幕末コメディ!


単行本背表紙より抜粋





作品紹介
作者はハコヅメの泰三子先生。
前作は読んでいないのでなんともですが、メディアミックスもされているようで人気作なのだろうなと思います。未読で🙏です。
今作は幕末がテーマのコメディ(!?)ということでちょっと興味津々で手に取った次第です。
なんというか独特の泰三子ワールドがあります。

主人公はあらすじにもある通り、後に初代大警視(現・警視総監)となる川路利良です。

事実上日本の警察創設者。彼が日本警察の父というのはそういうことです。
ちなみに画像に写っている川路利良のカードは単行本2巻に付属したおまけです。
英傑大戦にはすでに初代総理大臣がいるので、初代大警視がカード追加されても良いよねと思いました。

英傑大戦向け、の人材であると感じました。同時に日本の警察がどう生まれたのかも気になったので手に取った次第です。
そもそも自分は幕末の歴史に詳しくはないので、どんな所から始まるかというと冒頭はペリー来航から始まります。
そこから場面は島津藩へ。
陣列太鼓を叩く川路正之進(利良)にスポットが当たります。
彼の慕う殿様が島津斉彬
川路は幼い頃に斉彬に太鼓の才能を見いだされます(何の才能だ!)
あらすじであるギリで武士というのはギリギリ武士の階級の家に生まれたという意味で、当人は刀とか苦手らしいですな。
そして、もう一人の主人公、西郷隆盛
天然というか何というか「さん」を付けたくなるキャラクターでした。
話が進むにつれ誰に会っても愛される人徳感があります。

キャラクターのしゃべり方や表現も現代的で「歴史漫画」と身構えずに入っていけると思います。
用語なども現代風に表現、解説しているため難しくなく頭に入ってきました。
将軍継嗣問題。一橋派、西紀派による将軍の後継者争いも。
おじさんたちによる推しメン大戦争という表現は、おじさんである自分でもすごい分かりやすかったです(笑)
帯にもあるとおりコメディ作品であり、コメディタッチだからこそ描けるというか軽いノリというか、すらすらと読めるのも漫画の良いところだと思いました。
肩の力を抜いて読めるエンターテインメント性の高い作品だと思います。
よろしければ手に取ってみてください。





感想

実は新・漫画の話で紹介のタイミングを考えていた作品でした。
というのも主人公の川路正之進(利良)が実際にに追加されてからと思っていましたが、そもそも武将として追加されるかどうかわからないですからな。
仕方ないので彼の慕う殿島津斉彬、もう一人の主人公である西郷隆盛が手に入ったら単行本と一緒に紹介しようと思っていました。

しかし、これがなかなかうまく引けません(笑)
兵舎にもいない。特に西郷さん!
気づいたら単行本2巻目が発売。
どうしようかと思っていたら、おまけに付いてきた川路利良のカードが目に入りました。
これは素晴らしい!と思いました。
もしかして英傑大戦で武将カード化狙っているのかな?


エンタメ性と歴史を描くこと
第2巻の中程に作者の心情というか「今から虚空に向かって話をします」という一文から始まる文章があります。
作者のストーリー解説や説明という感じの文章です。
自分と同じくだんドーンを購入された方は読んだと思いますが第10話での一部表現。
「木曽川治水工事」に関する登場人物たちの会話シーン。
2ページにわたり、その詳しい解説をされています。
前半は主に「木曽川治水工事」に関する作者の解説。
後半は一部抜粋して載せます。

様々な角度から歴史について研究さらた論文などを読ませていただき、インターネットや書籍などで、知識を本当に簡単な手段で享受させていただいているにもかかわらず、自分の作品内では詳しく説明をかなり削ってしまっているからです。
エンタメ性を確保したいという気持ちと、歴史を大切に描きたい気持ちがいつもせめぎ合っています。


本文まま


自分は読み終えて作者が真摯に自身の作品に向き合っている文章だと感じました。
より詳しい作品解説に対して理解が進みましたし、同時に作者の苦悩も伝わってきます。
歴史を漫画としてどう作品として描き、昇華するか?
そうなんです。
これは漫画という表現方法を使った作品であって歴史の教科書を編纂しているワケではないのです。
当然、エンタメ性の確保というのはあってしかりだと思います。
しかし、同時に漫画とは言え歴史、史実を描かなければなりません。
これが歴史漫画の難しいところではないでしょうか。



何処を描き、何処を削るか?
だんドーンに限った話ではなく歴史漫画全般に言える悩みだと思いました。
歴史の一部。歴史のどのシーンを描くのか。どんなシーンをチョイスするのか難しいところだと思います。
主人公の活躍を描くためにはどうしてもページの都合もありますし、時には削らなくてはなりません。
幼少期のエピソードから、いきなり時代が飛んで青年期なんてこともあります。
しかし、歴史通り全てのエピソードを入れようとすると膨大な量になってしまうと思われます。

それに誰がこの漫画の主人公なのかということもブレてきてしまうと思いました。
歴史は様々な人物、時にはその時の勢力が混じり合って話が進みます。
見方によって歴史物は群像劇としても読めるでしょう。
ですが今作は、あくまでも川路正之進(利良)が主人公の物語です。
正之進の視点で物語は進んでいゆくのです。
彼がどんな活躍をするのか、今後訪れる困難をどう乗り切るのか。
時に苦しく、時に楽しさを感じることができるのが漫画の描くエンタメ性だと思います。
同時に歴史の追憶ができるとも思いました。
これから彼がどのような道のりで歴史の流れを超え、警察を創設するにいたるのか見守っていきたいと思います。




それではまた新・漫画の話でお会いしましょう。

再見

©SEGA

©泰三子
©講談社
作成日時:2024/02/27 17:09
コメント( 6 )
6件のコメントを全て表示する
METRO
文士
文士
METRO
2月29日 0時0分

基本コメディですが、避けて通れないシリアスな所も陰鬱になり過ぎず軽くなり過ぎず読み易くて面白いマンガですよね。
川路がいつ英傑に来るかと楽しみにもなりますw

楊狐
楊狐
文士
文士
楊狐
2月29日 9時20分

yunatogirlsさんコメントありがとうございます。
第一部 完!のようですな。
おそらくコメディとは言え歴史漫画なので伏線があったとしても歴史通りには描くと思います。
歴史に描かれていない「if」的解釈はあるのかな?くらいには思っています。
木曽川治水工事。←そうです!宝暦治水事件のことです。
しかし、作中では深く掘り下げてはいないことを作者が解説していました。
作中でも登場人物が立ち話で「こういうことがあったね」ぐらいの描写でした。
自分の感想にも書きましたが、本作は川路正之進(利良)が主人公で警察がどうできるかの話だと思います。
宝暦治水事件のことを描くと「治水工事の話」になってしまうんですよね。
幕末はあまり詳しくないので物語が今度どうなるのか自分もすごい楽しみです。

楊狐
文士
文士
楊狐
2月29日 9時24分

METROさんコメントありがとうございます。
そうなのです!
歴史漫画であるかぎり、人の死は描くことは避けることができないのです。
時にシリアスにもなりますが、そこは作者のワールドというかバランスを考えて描かれていると思います。
自分も川路正之進での追加を楽しみにしております。裏面のテキストには「日本警察創設者」とか書かれるのだろうなと思います。

METRO
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