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初心者向け訴訟講座⑨「憲法、法律、及び、規約について その1」

by
三宅前六品
三宅前六品



 今回は、「憲法、法律、及び、規約」の内、憲法について説明します。

















 法律について学ぶとき、最初に習うのが、憲法と法律の定義です。

 「法律は、一定の目的のため、国民の権利と自由を制限するもの、憲法は国民の権利と自由を守るため、国家権力を制限するもの。」

 これが憲法と法律の定義です。法律問題を考えるうえで、憲法と法律の違いは大切なので、覚えておいてください。


















        憲法について



 憲法とは、「国民の権利と自由を守るため、国家権力を制限するもの」であり、国家の最高法規です。

 立法は憲法に基づいて行わなければならないため、憲法に違反する、法律は無効になります。


















 
 今回、管理人が行った私の記事の削除は、憲法21条に定められた「表現の自由」の侵害にあたると私は考えてます。

 しかし、国家に対しては、憲法違反を理由に損害賠償をすることはできますが、企業に対しては憲法違反を理由に損害賠償請求をすることはできません。

 なぜならば、憲法は「国民の権利と自由を守るため国家権力を制限するもの」なので、原則として、個人や企業に対して憲法を直接適用することはできないからです。

















 しかし、だからといって、企業が憲法を遵守しなくてもかまわない、ということではありません。

 例えば、憲法13条には「個人の尊重」について書かれていますが、企業に憲法は適用されないから、個人を尊重する必要がない、とする解釈は誰でも、おかしいと感じると思います。

 法律は憲法に基づいて作られるので、憲法に違反する行為は法律に違反していることが多いです。なので、企業であっても、事実上、憲法の適用を受けることになります。

















 今の日本国憲法は第二次世界大戦後に作られたものです。戦勝国のアメリカの憲法草案を直訳しているので、日本国憲法には日本語の誤りが多く見られます。

 日本語の誤りは、当時の国会でも指摘されていたのですが、日本語に沿うように訳すと、原文とズレが生じてしまうので、アメリカ側と、すり合わせが必要になってしまいます。

 日本側としては、日本語の誤りを直すことより、時間をかけて、優先して交渉しなければならないことがありました。














 新しく憲法を定めるにあたり、日本側として、どうしても譲れなかった点は、天皇制の存続でした。しかし、アメリカ側は天皇制の存続に反対してました。

 戦前の大日本帝国憲法の主権者は天皇で、神聖不可侵とされており、国民には、天皇から臣民の権利が与えられていただけでした。

 アメリカとの交渉の末、主権者を国民と定め、天皇は日本国の象徴とすることで、天皇制の存続が決まりました。

 

















 第二次世界大戦では、日本はアジア諸国に攻め入り、多くの方の命と生活を奪い、世界を敵に回した結果、敗戦し、200万人以上にもなる日本人の方が亡くなりました。

 これほどまでに多くの被害が出た大きな要因のひとつは、国家権力が「表現の自由」「言論の自由」を制限したから、と考えられています。


















 1941年に治安維持法が改正され、予防的逮捕ができるようになりました。検閲が行われ、国の方針に逆らった主張をすると、特別高等警察(通称 特高)に逮捕され、拷問を受けました。

 新聞で、戦争体験者が当時の様子を、
「戦争が始まり、少しずつ自由が制限されていき、気がついたら何も言えない世の中になっていた。」と投稿していたことが強く印象に残ってます。



















 現行の日本の司法制度は、第二次世界大戦の反省からできてます。

 「表現の自由は
     最大限に尊重されなければならない。」

 このような格言があるところからも分かる通り、日本の司法は伝統的に「表現の自由」「言論の自由」を尊重する立場をとった判決を出すことが多いです。












 初心者向け訴訟講座⑩「憲法、法律、及び、規約について その2」に続く。


 
更新日時:2024/02/29 14:39
(作成日時:2024/02/26 04:02)
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