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群雄伝の感想1 織田伝1話~3話

by
松林伯炎
松林伯炎
松林伯炎です。
いつも会話付きブログを御覧くださっている皆様、本当にありがとうございます。

普段は馬鹿話ばかり書いていますが、たまには一風変わった文章を書いてみたくなったので、気持ちに任せて書いてみます。


今回は、群雄伝の感想をまとめてみました。

昨今、群雄伝のストーリーの完成度が大変高く、一つの作品として、とても読み応えがあります。
一方で、ネタバレへの配慮などもありますので、なかなか1話ごとの感想や見所をまとめている文章やツイートは多くないのではないでしょうか。
この場を借りて、1話ずつ濃密に、自分なりに思ったことや見所をまとめさせて頂きます。

…と、偉そうに上から目線で語ってはいますが、あくまでリスペクトの気持ちを込めて書いてみます。
御覧になった方と、お気持ちを共有してみたいです。

ともかく一つ気を付けて頂きたいのが、思いっきりネタバレがありますので、未プレイの方は、ここから先のご閲覧はご留意願います!


今回は、織田信長伝の1話~3話(外伝を含む)の感想をまとめました。

・「織田信長」を書くハードルの高さ
まず第一に、織田信長のストーリーは、書くのが大変難しくなってしまった。
これをお伝えしたいです。

織田信長が主人公ではありますが、現代に、織田信長が登場する創作は、山ほどあるワケです。ごちゃまんとあるワケです。
そのため、特に歴史物に於いて、織田信長が史実でどんな活躍をしたのか、どういう人生を歩んだのか、というのは、歴史好きからしてみると周知の事実なワケです。

ここがライター泣かせだと私は思っていて、つまり「史実通りに織田信長が戦うだけの物語」では、全く面白味がないワケです。
かといって、歴史物ですから、あまりにオリジナルな要素を入れ過ぎれば、物語が破綻したり、軽薄なものになってしまいます。あくまで、「史実通り」に創らなければいけません。
史実通りだけれど、ライター独自の味を出しながら、料理していかなければならないここが、織田信長を創る難しさになるワケです。


第二に、信長は、生まれながらにして完成されている。

もし物語を書くならば、失敗や挫折を経て、主人公が成長していくところは見所と言えます。
ところが、織田信長は、人生に於いて、挫折や失敗がほとんどないのです。
勿論、合戦で敗北したことは何度かありますが、致命的な大敗がほぼなく、敵と鎬を削り、拮抗することすら、ほぼないのです。(説明すると長くなりますが……)
そう、信長の人生で、人格を成長させたであろう分岐点が、ほぼないのです。

また、信長の画期性で有名なのが、鉄砲です。
この鉄砲。信長はいつ注目したのかというと、元服直後です。(しかも史実)
ここに注目してもらいたいのです。
もし普通にシナリオを書くなら、敵が使っていて負けたから取り込んだり、成長の過程で鉄砲を選んだりするのでしょうが、
この織田信長は、もうスタート地点で最強の武器を手にしているワケです。これもライター泣かせでしょうね。

つまり、信長は人格も知能も、第1話から既に完成されていて成長済みなのです。


この二つの関門をライター側が把握しきれていないと、読んでいて違和感が起こるワケです。
信長が失敗したり、慌てたり、悔しくて涙を流したり、恋に落ちてドキドキしたりすることが、あってはならない。人間らしい一面を見せてはならないキャラクターなのです。
ここを押さえていないと、信長の物語は違和感が生じます。
(最近は、1周回って、信長がボケ役を務めることが増えましたね。これはむしろ、史実の人物像からの反動で、そういう役回りをさせられているのでしょう)


群雄伝のストーリーは、この信長像を、完璧に押さえられたストーリーではないでしょうか。
織田信長伝でありながら、ある意味、信長は全く主人公らしくない人物像です。
達観していて、余裕にあふれて、頼りがいのあるリーダーです。


・太田牛一
この織田信長伝で注目するべきは、やはり太田牛一でしょう。
太田牛一は、信長の事実上の伝記である『信長公記』を記した人物として知られています。
英傑大戦の群雄伝では、安倍晴明・平賀源内など、異なる時代・世界を行き来できる人間がいます。(多次元宇宙・マルチバースってやつですね)
太田牛一も、『ガリア戦記』について言及しています。当然、戦国時代には流布していませんし、史実の太田牛一が読めるはずがありませんので、彼は異なる時代からやって来たと考えて良いでしょう。
何故、この時代を選んで居着いたのかは定かではありませんが、いずれ明かされるでしょう。
いわゆる狂言回しと言いますか、信長を始め、織田軍の足跡を記録していきます。この記録が、後々、どういう意味をなしていくのかが見所です。
『信長公記』は、それなりに誇張的な表現や、非現実的な味わいもある(すなわち、100%史実とは言い難く、物語としての色もある)のですが、その味わいも群雄伝で表現しようとしているのが魅力的です。

ちなみに第2話のエンディングで、太田牛一が由宇喜一に、『三国志』の劉備の話をしていますが、これは「劉備伝」で田豫が書き、流布させた物語なのでしょうね。


・佐久間信盛
織田信長伝の序盤は、信長の弟・織田信勝と水面下での政争がポイントになります。織田家臣は、信長派・信勝派に分かれます。
佐久間信盛は、最初から信長派に属しています。
しかし、風見鶏的で温厚で常識人的なキャラクターの佐久間信盛が、破天荒な信長に従うのは、ややミスマッチに思います。

ここで注目してほしいのが、第1話のイベント3です。
これは、信長の父・織田信秀の葬儀で、破天荒な格好でやって来た信長が位牌に抹香を投げつける、有名なシーンです。
ここで、九州から参列した僧侶がただ一人、信長の奇行を評価した、という逸話までがセットで有名です。
この僧侶に、佐久間信盛が話しかけます
僧侶の言葉を聴いて、信長に興味を示し、以後、佐久間信盛は信長派に属するようになります。
やや強引な展開ではありますが、この僧侶と結び付けて、佐久間信盛が何故信長に従うのかの理由付けが丁寧にされているところは、他の創作物にない見所です。

・前田利家と佐々成政
ある意味、本当の主人公と言える2人かもしれません。前田利家は、2話外伝で信長に正式に仕官→2話で活躍、という流れになります。2話外伝のイベント11で、池田恒興に諭されるところは印象的です。
史実では、前田利家と佐々成政の間柄は、複雑です。2人の距離が近かったのは間違いないのですが…
前田側が残した史料→「佐々成政は嫌い!」
佐々側が残した史料→「前田利家は大親友!」
と、双方で記録が食い違っているのです笑

この食い違いの理由は、恐らくではありますが……
佐々成政は、信長死後、豊臣秀吉と対立し、降伏しますが、その後、政治の失敗を理由に自害させられます。
そんな、天下人と対立した人と、親しい関係だったと分かれば、前田利家に類が及びかねないので、「いや、佐々のことは嫌いでした!」と史料に残したのではないでしょうか。
この、複雑な史料を、どう中和するのかが、創作の醍醐味でもあると思うので、この2人の関係性がどう発展するのかが興味深いところです。


・エンディング
だいぶ長く書いてしまいましたね笑
編集も大変なので、定期的に書くよりも、また気が向いた時にサクサクと書こうかなぁと思います。
(実を言うと、まだ書き足りない気持ちがあります笑)


それではこのあたりで。
会話付きの方も、どうぞよろしくお願いしますー。
作成日時:2024/01/27 13:10
コメント( 4 )
4件のコメントを全て表示する
松林伯炎
松林伯炎
1月28日 18時55分

楊狐さんコメントありがとうございます。
群雄伝をやりたくなる
>ありがとうございます、そう仰って頂けると励みになります。
稼働初期からある群雄伝なので、プレイしたのがだいぶ前だと失念してしまうかもしれませんね。私もだいぶ前にプレイしたので、改めてプレイしました!

楊狐
白犬
白犬
1月30日 13時1分

戦国大戦で既に王道ストーリーは描いているので、英傑大戦ではかなり変化球で来たな、という印象です。
土田御前や平手汎秀等、戦国ほど登場人物が出てないのもあるかもしれませんが
書かれてる佐久間のエピソードのようにかなり細かいところを掘り下げてると思います。
太田がストーリーテラーてのは意外な着眼点、なるほどですね
毛利伝他でも謎の時空を超えた存在が出てきますし
英傑のテーマなのかもしれませんね

松林伯炎
yunatogirls
松林伯炎
松林伯炎
1月30日 13時30分

白犬さんコメントありがとうございます。
戦国大戦の群雄伝は、Youtubeに残っていますし、別の角度で創らなければ意味がない、と私は捉えました。逆に『新選組伝』は、かなり正統派な作り方になっていると思います。
細かいエピソードを、ただ上げるだけではなくて、しっかり作品にとって良い方向になるように演出されているのが巧みだと感じました。

時空を超える、などのテーマは、大風呂敷を広げてしまって後で収拾がつかなくなるパターンが多いので、そこをきちんと煮詰めた作品であってほしいですね。

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