「・・・よっこらしょっと!お登勢さーん!採ってきた木材置く場所ここでいいー?
「問題ないよー!後は米俵をこっちによこしておくれー!
「りょーかーい!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふぅ、これで全部だね・・・いやーあんたが手伝ってくれたおかげで仕込みが早く終わりそうだよ!
「えへへ、役に立てたなら嬉しいよ!
それに、命の恩人を助けるのは武将として当然だもん!
「武将ねぇ・・・しかし驚いたよほんとに。いきなり雷鳴が鳴り響いたと思ったら、あんたが泥だらけになって
倒れてたんだから!
「あの時はほんとにどうなるかと思ったよ・・・お登勢さんの話だと、あたし山の中で倒れてたそうだから。
「あたしが山菜採りに山入ってなかったら今頃あんた熊の餌食になってる所だよ・・・
ほんとに見つけてよかった!
「(・・・ほんとは山で雷の招来術の練習してたら空間が捻じ曲がって、雷に当たって気絶したんだけどね・・・
お登勢さんから話を聞く感じ、ここ中原の地じゃないみたいだし)
「ん、どうしたんだい?
「あ、ううん!なんでもないよ、かなり動いたからぼーっとしてただけ!
(まぁあたしが別の時代から来たっていっても信じてくれないだろうし・・・)
「おかしな子だねぇ、たまに物思いにふけったりするし・・・ふーむ・・・
「(・・・はぁ、翼徳様どこにいるんだろ・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そうだ、一段落ついた所でちょいと聞きたかった事があるんだけどいいかね?
「はい、なんですか?
「実は寺田屋にあんたを運んだ時にちょいと持ち物を見させてもらったんだよ。
「えっ!!・・・な、何も取ってないですよね・・・
「あはは!仮にも宿屋の女将やってんだ、お客さんの品物盗るバカがどこにいるってんだい!
でもあんたの服とか装飾品とか見てるとさ、あんた清から来たんじゃないかって思うんだよ。
「し、清・・・?それってどこの国の事ですか・・・?
「おや、違うのかい?
「えーっと・・・(どうしよう、蜀って言って伝わるかな・・・)
「うーん、まぁ聞かれたくないなら別に構わないけどね。
・・・あっそうだ!まだあんたの名前聞いてなかったね!
「えっ。
「あ、あれ・・・名前もあまり聞かれたくなかったかい?
「あ、いえいえ!別にそんなことは!・・・ただなんで今まで聞かれなかったのかなーって感じで・・・
「あっはっは!あたしとしたことが、あんたを助ける事で精一杯だったからね!
そこまで手が回ってなかったんだよ!
「そ、そうなんですか・・・(ほんとに豪快な人だなぁ)
「ま、あんたはもうこの寺田屋の従業員なんだ、女将のあたしが知ってなくちゃおかしいだろ?
「・・・・・そうですか、・・・そうですよね!
それじゃ改めて。あたしは・・・月っていいます!
「月かぁ・・・へぇ、とってもいい名前じゃないか!
よし、じゃああんたは今日から「おつき」って呼ぼうかね!
「えぇー!?なんですかそれー!
「あっはっは!不服かい?文句言いたきゃ一人前になってから文句言うこったね!
それじゃ、もう遅いからあんたも寝な!空いてる部屋あんたにあげるからさ!
「ま、待ってくださいよー!もうちょっとかっこいい名前なかったんですかー!?
「(・・・考えてみれば、あたしここで花嫁修業とかできるんじゃないかな!
よーし、そうと決まれば明日から頑張らないと!絶対に修業を積んで、翼徳様にあたしの事を・・・キャー!)
「(・・・実を言えば、あんたの事は最近起きてる異変からなんとなく察しはついてるんだがね。
早く一人前にさせて、旦那さんの所に連れてってやらないとねぇ。それがあの子のためだから・・・
・・・そうだろ?”燕人”様?)
END