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石(こく)の壁(へき)ー前編

by
伏龍殿の覇者
伏龍殿の覇者
階級を上げるという目標の上でいくつかの壁があります。
自己流なのでなんだか間違っていたり、ざっくりとしてることもあるでしょう。
書いていたら長くなってきてしまったので、前半と後半で分割します
ただ後半の方は正直分かってないことも多いので書けないかもしれません

衛茲
(アイキャッチ衛茲)

はじめに
ゲームにおけるスランプという言葉があります。大まかには「同じデッキで同じことをやっていたのに負けるようになった」ことを指すように思いますが、時にこの言葉は多くの状況を包括してしまい、本来の原因を隠蔽してしまいます。
例えば宝石が追加された時、多くの人が混乱しました。過去色々な要素が追加されたことはありましたが、大戦史において上位帯でここまで高コストの槍が多用されることは稀だったように思えます。もちろんこの問題は上位・下位問わず全ての環境に波及することになりましたし、それは使う使わざるを問わず既存のデッキにおける兵種・計略構成を変えてしまうものでした。
つまりこの環境は誰も体験したことのないものと言えます。自分が同じことをしていても周りが今までと全く違うのですから、当然勝手は違うものになります。
そう考えた際に、今新しい環境も生まれつつあります。それは「宝石があるにも関わらず宝石が使われる率が少なくなった環境」です。全体的に弱体化したとはいえ、未だ影響力がある宝石を強く意識してカバーする必要はあるでしょうか?それは通常のデッキの対策との割合を考えてもペイするにあたる歪みでしょうか?
このように無限に変化していく環境の中では、スランプという状態にも色々な理由が考えられます。
一つはカード等の性能の変化であり、またそれにより発生する(例えば蒼天航路の曹操が増えたから槍を2枚入れようというような)プレイヤーの動きによる影響であり、最後に自身が昇格した時などに発生するスキルと勝率に起因する「壁」と言うべきものです。
これらの切り分けはある程度簡単で、強いと言われているデッキを使ってみて快活に動かせれば前者の二つ、つまり環境の要因であり、そうでなければ後者と言っても差し支えありません。たまに切り分けの際、元々使っていた醬油ラーメンと新しい塩ラーメンで迷っているみたいなデッキ選択をする時がありますが、今あなたが選択するべきなのは牛丼です。兎に角環境パワーを体感してみて、それをもって自分のスキルが不十分かどうかは再検討に当たるべきです。
今回はそういった切り分けを経て、「壁」というものに対する個人的な理解について以下に内容を考えてみようと思います。

1の壁.操作(0~銅プレートの後半くらい?)
最も分かりやすいものと言えます。
この壁は回数を重ねる内に、まぁまぁ良いかなというレベルに到達し、自然に乗り越えることになります。
100点になることはまずありません、大体何年やっても騎馬は刺さるし、端攻城を漏らしたりします。世知辛いものです。
またこの壁を乗り越えるのは回数に依存することが多い印象があります。

とはいえ、何も言葉で共有するべきことがないかというとそうではなく、一例として大戦シリーズ以外のアーケード・カードゲーム(ATCG)をやっていた人は飲み込みが早い、というような印象があります。
なんとなくそれって経験があるってことなんじゃないの?って思うかもしれませんが、殆どのATCGにおいて「LORD of VERMILIONをやっていたから騎馬が迎撃されない」「悠久の車輪をやっていたから弓サーチが上手い」のような、他ゲームから英傑大戦のアクションに生かせるカードの動かし方を会得していることってほとんどないように思います。(やっていなかった人には余計に伝わり辛いかもしれませんが)

そこで考えたのですが、ATCGにおける最初の障壁は「カードは動かさなくても動く」ということなのではないかと考えました。

「操作出来ていない」の中で問題のあると言うべきなのは、操作上のミス(想定外の操作)というより、上図赤枠の武将のように操作すべきなのだけれど忘れられてしまって、適切な位置(この場合では号令の効果範囲)にいないような状態を作ってしまうことを指すと考えます。※誇張するためやや不自然ではあります。

ここに完全な初心者と既ATCGプレイヤーの差があるように思いました。
ランカーを除く一般のプレイヤーの腕の本数はおおよそ2本とされていますが、普通のプレイヤーであっても反射神経が良いからたくさんのカードを自由に動かせるとか、大戦筋が異常に発達していて高速で動かしているとかそういうことではないように思います。


そこで考えたところ、操作量に大きな差異が無くても結果が異なるのは動かし方によるものだと考えました。
ある程度ゲームをプレイしているプレイヤーの視点で考えた際に、戦場の中央で武将が孤立してしまって動いていない状態はあまり起こらないように思います。
それは(やや極端ですが)弓兵を除けば、カードは基本攻城ライン上、自城内、操作中、のいずれかであることが多いからです。
上図は敵城への進軍のイメージですが、青とピンクが実際のカードの位置、そして赤とピンクがゲーム上のカードの位置です。ピンクは実際に動かしているカードになります。


守城にあたってはもう少し実カードで動かさない箇所が増えます。
一つは先に述べた弓ですが、もう一つは勝てる場所です。
上図では甲斐姫の部分ですが、原則として攻城中の同武力の武将への乱戦は、城からのダメージが相手の武将に入るため勝つことが出来ます。同じ武力なら勝てる、低武力同士で1差くらいなら何とかなるかもくらいの感覚でいるのが良いかもしれません。

逆に負ける場所と効率的にアクション出来る場所は積極的に動かします。相手のマウント部隊が勝てそうだった所に来てしまった時は、その部隊を下げてしまった方が良い場合が多いです。1回の攻城と部隊の撤退であれば部隊の撤退の方が価値が重いためです。(例外としては「勝敗が決まってしまう城ダメージを巡る攻防」「自身が城ダメージを取れないワラなどのデッキ」は部隊の撤退より価値が重くなります)
なんとなくこういう「実カードを動かさなくても最大限盤面で効果を発揮している箇所」をどれだけ作れるかが最初の壁のような気がします。初めに端攻めが驚異的に強く感じるのは必要な操作が(基本的には)初心者と上級者の間で変わらないためです。


上達すればするほど、逆に楽な動きの中で生まれた余裕から「槍出し」「弓攫い」など操作を増やせる項目もあります。


ちょっと慣れてきたら、勿論操作するに越したことはないので、少しずつ操作量を増やしていきましょう。このゲームでは効率的にダメージを出した方が強いことも多く、自分のダメージを減らすよりガッツリ騎馬隊にコミットした操作をして、相手の武将を早く倒してしまった方が良い場合などもあります。どれが良い操作なのか、どんな操作なら楽に部隊を動かせるか、これは色々試してみるのが良いように思います。

2.想定あるいは選択(銅プレート後半から紫プレート到達くらい?)
よく最大士気とデッキ内におけるその割り振りについては課題にあがりますが、今回はもう少し壁となるべき箇所についてフォーカスしたいと思います。
英傑大戦はカードゲームの特性を持っているためデッキのジャンルは星の数ほど存在します。
ですが、ゲームの大原則はいかに強い戦法を擦りつけるかと言っても過言ではありません。
「強い戦法を擦り付ける」というのにも分解すると幾つかの要因があるように思います。

・強い戦法
ここでいう強さとは数値の問題ではなく、実現可能な組み合わせの中でどれくらい妥当かということです。
カードの強さだけで評価値を決めてしまうと、そこまで高くない評価値のカードに負けてしまうこともあるでしょうし、逆に強いカードを使っても勝てないことがあると思います。
その原因をハンドの上手さであると表現するのかもしれませんが、局所の表現において、別ゲームの用語ですが「パワースパイク」の言葉が適切のように思います。
要約すると「今進めている戦略の組み合わせの中で一番強いタイミングのこと」を指しますが、これはカード・デッキ・戦器・流派によって様々です。

例えば琥煌ゲージを6本使うタイプの強い琥軍のデッキを使っていたのに、織田信長・徳川家康・柴田勝家のようなシンプルな士気6の計略を2回連続で打たれて負けてしまったということがあるかもしれません。
負けてしまうと端的に相性が良くなかったと言ってまとめてしまう時が多いですが、これは後者のデッキがシンプルさ故に「士気6がちょうど溜まるタイミング」、「士気12がちょうど溜まるタイミング」にパワースパイクを迎えているのに対して、前者は「士気8+流派ゲージが3つ」、「士気15+流派ゲージが3つでかつ琥煌ゲージを途中で使っていない…」などの少し遅いタイミングでパワースパイクを迎えるデッキであったことが考えられます。

複雑化したゲームの中では、このパワースパイクを巡る攻防が行われています。先の例の相性はやや誇張はあったものの、士気12使用する攻勢の展開をゲージを溜めるだけのような、ほとんど何もしないで受け止めてしまうというのはかなり無理があります。
先の例で言えば、琥軍側も(本来ゲージなど使いたくはないのですが)士気8と流派が溜まった後、琥煌ゲージを使ったり、戦器を使ったり、流派ゲージも良くない形で使用したりして試合を進行させます。上位帯の試合では必ずしも両者が好き勝手やりたいようにやっているわけではないにもかかわらず、お互いのゲームの理解度においてこのパワースパイクを巡る攻防は非常にスムーズです。
話が大分横道に逸れましたが、要するにどんなカードにも(大抵の場合で)強いタイミングがあって、その強い部分を押し付けようという話です。

・どんな形で実現できるか
どんなカードにも強いタイミングがあるため、汎用的な部分もあるでしょうがこの項目は1つのカードに絞った思考実験としてアプローチします。まず考えてみて、やってみて、調整していくことになります。

当初この記事を書くにあたり発端が楊端和についてだったので、楊端和を例とします。
必要士気:5
説明:武力と移動速度が上がり、槍撃を当てた敵の武力を一定時間下げる。さらに敵を撃破するたびにこの計略の効果時間が延長される

まず簡単にテキストを見た際に、効果はそこまで大きくなさそうだということが分かります。必要士気は多くなく、倒せば倒す程効果が伸びるのですから、効果は強力過ぎるということはないハズです。
ただ目標は明確で、倒せば倒す程計略を強く使うことが出来そうです。

上記から今の時点で以下のことが想定できます。
①単体で相手の号令を全部まとめて倒すようなパワーでは無さそう
②倒せる部隊が多い方が強いので、相手の枚数が多い方が効率的に働けそう
③超絶強化の中では士気が低めなので、何か計略を上乗せしても問題なさそう
④X部隊を撃破できるならコストパフォーマンス的にいつ打っても良さそう
簡単にはこんな風に感じました

ではサンプル的にデッキを作ってみます

完璧なデッキが出来ました。
このままでも問題はなさそうですが楊端和が計略を撃ちたい状況について考えてみます。

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①単体で相手の号令を全部まとめて倒すようなパワーでは無さそう

戦場の中央にどんと居座れれば良いですが、こんな風に接城してしまった相手に楊端和の計略を打つと計略戦になり、部隊を倒せるか倒せないかは五分五分と言ったところかもしれません。
更に言えば馬に乱戦されてしまうと槍撃が出せなくてかなり出力が落ちてしまうという弱点もあります。
ここまで引き込んでしまったら王翦を直接撃って戦ってしまって良さそうです。

②倒せる部隊が多い方が強いので、相手の枚数が多い方が効率的に働けそう
この項目は相手のデッキ枚数に依存します。

相手の部隊を倒すにあたって槍撃したのち楊端和本人を上手く相手の武将に当てることが出来れば、相手の槍・剣豪にアクションをさせずに複数突撃を入れることで効率よく撃破が狙えそうです。
私見としては効果時間中に1部隊は素早く倒してしまいたいので、弓より鉄砲の方が瞬間的な火力が高い分で楊端和とは相性がいいように思います。

③超絶強化の中では士気が低めなので、何か計略を上乗せしても問題なさそう
楊端和自身でラインを上げて号令を打つような動きも良いかもしれません。
楊端和から桓齮に繋げたりすると長時間における攻勢が続きそうです。王翦に繋げるのも強力ですが、こちらは迎撃されてしまう可能性が捨てきれません。
軽い兵種強化も良いですが、元々槍撃ダメージが増えたりするわけではないので単純に武力が上がるものであったり槍が伸びたりするものが良かったりするかもしれません。

④X部隊を撃破できるならコストパフォーマンス的にいつ打っても良さそう
ここは重要な分岐点になりそうな気もします。士気5で+5の神速状態に付加価値が付いているという計略内容であれば、なんとなく20c続いたら強力な計略のジャンルのような気がします。それでも同じような武力低下を発生させる岡部元信の計略と比べると短く、滝川一益と比べると2部隊撃破できた時点で同等です。でもやっぱり2部隊撃破出来たら強い滝川って考えると強めな気がします。
ということは損益分岐点は2部隊を撃破できる状況か否かになりそうです。
騎馬という兵種は速度・破壊力ともに強力なので、がっぷり四つの計略戦にならなければ2部隊を撃破するのはそう難しくなさそうな気がします。さらにもし仮に計略戦になったなら、騎馬が帰城できるのは無論のこと速度が上がっている分で楊端和も槍を振りながら「打たせて逃げる動き」も容易に思えます。

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このように整理したのち、どんなデッキに勝てそうで、どんなデッキに負けそうなのかを考えて調整していきます。

考えた内容の一例として

一.馬はある程度強いと相性が良さそう。もしかしたらもっと強くて、始皇帝で良いのかもしれない。けどバランス的には遠距離兵種も強くしたい
二.弓よりは鉄砲が強い方が、すぐに強いとする条件の2部隊撃破を狙えそう
三.少なめの士気で計略重ね掛けできるともっと色々なパターンに対応できそう
四.相手の枚数が少ない時の対策が必要そう
他にどんな場所が気になるでしょうか?どこまで妥協し、どこまで融通が利きそうでしょうか?

・実行するための立ち回り
これも全てのカードにそれぞれ立ち回りがあることが考えられます。そのためこの項目でも、一例として思考実験的な記載とします。
先の例で言うと、楊端和には「城からポッと出してすぐに相手の号令を全部倒す」みたいなことは少し難しそうであることが分かりました。

そうなった時に理想的な立ち位置はこんな感じになりそうです。
この立ち位置を実現するためには

・楊端和を容易に貼り付けたりして、何度も撤退させてしまわない


・帰城の必要が生まれてしまうため、遠距離兵種相手等で楊端和の兵力を過度に減らしてしまわない⇒減らしてしまうのであれば回復計略を入れたりする

・城ダメージを奪うのは方法はなるべく主力以外で考えておく

既存のデッキは色々なことを先駆者様たちが考え終わっていることが多く、それらは交流の中でコツのようなものを聞いてしまうのが簡単に習熟するコツになると思います。友達を作るのもゲーム攻略のコツのようですが、残念ながらこちらの方が難しい場合もあります。
一方で新しいカードで新しいデッキを作る時には、何かこういう試行錯誤の工程が必要なように思います。

終わりに
前半を書くだけで大分体力を使ってしまいました。
これで完璧に整理して同記事に後半を書こうと思ったら、あと1年は掛かるだろうと思ったので前後編にしようと考えました。そうなるとやる気が出てきて書き終えたので人間は現金なものです。

この記事を書くにあたり上記のデッキを思い出しました。
使用当初、ドリフターズの土方歳三はとてもムラがあるカードだと考えていました。
振れれば強く、振れなければ弱い
条件を満たすためには速度が必要であるが、速度は戦器に依存するため使用すると一段性能が下がる…
しかし暫く使ったのちに考えてみると、気付いたのは高コスト剣豪ワラが抱えている構造的な問題と呼ぶべきような事でした。

こんな風に攻めたとします。
この場合最初に撤退するのは大体のケースで10コストの槍、次に15コストの槍、そして最後に25コストの剣豪になるように思います。
これでは相手のカウンターのタイミングに、敵が城についてしまった後にやっと土方歳三は城から出れるくらいで、ワラと呼ぶには防衛力が十分とは言えませんでした。
瞬間的な城から出た時の強さではER沖田総司やSR河上玄斎の方が更に上ですが、そちらの形のワラもそう多くは使われていません。
高コストの剣豪のポイント自体がかなり現状高めになっていますが、決してER沖田総司の計略では城が守れないとか、火力が低いとかそういうことではないように思います。
これは城塞流派などで解決できる問題であったかもしれませんが、ドリフターズ土方歳三においては更に、「速度(戦器なのか宝石なのか)」「復活時間(宝石なのか城塞なのか)」「火力(兵種流派なのか宝石なのか戦器なのか)」のいずれかを選択して諦める必要があります。
ややネガティブな書き方になりましたが、この構造上の問題は「速度が上昇する」「長時間である」「瞬間移動が出来る」等が出来ない限りは、単体では完結せず他のカードの力を借りて対応することになります。そして「単体のカードのムラ」のようなふわふわした理由でない限りは何らかの解決策があるということです(!)

こういう気付きはある程度ランク帯が上がった後にも多くあります。もしかしたら何か気付いていないポイントのようなものが、どんなカードにも隠れているのかもしれません。
末筆ですが皆が使いたいカードを試行錯誤して使う環境を願っています。

 
更新日時:2025/03/12 13:11
(作成日時:2025/03/12 13:08)
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コメント( 1 )
らぶいた
らぶいた
3月12日 21時6分

とても為になる記事ありがとうございます!滅茶苦茶読み応えある&自分にも身に覚えがあることだったので、食い入るように読みました。特に「強い戦法」のところ、あんまり考えたことなく基本的に感覚でやってたので今一度自分のデッキでも考えてみます。後編も楽しみにしています!

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