この記事は拙書「Ver.2.5.0A以降の英傑大戦が抱えるインフレ問題に関する一考察 『適正士気の崩壊論』 前編」の続きとなります。用語など前編に依拠した記述もありますが、この記事単体でも内容が成立するように心がけています。
③戦器の『適正士気』
さて、現環境最大の問題である宝石の英魂効果に触れる前に、Ver.2.5.0以前から存在した戦器それ単体の効果を士気に当てはめた場合、どれほどの値になるのかを検証していきたい。
…のだが、実はこの問、とうに答えが出ている。正解は、『おおよそ4~5相当』となる。
右の戦器『源太が生衣』は平安のカードがデッキ内に4.5コスト以上いるとき、65%の回復量をたたき出す。この回復量、左の計略『御所への援軍』と回復量が全く同じだ。また武器というジャンルにおいても、
左の計略『今弁慶の指揮』と『大典太光世』の武力上昇値は双方+3だ。左の方が効果時間が訳1cほど長い代わりに、右には士気+0.75というオマケがついてくる。
このように、戦器というものは「
戦闘中に一度だけ、士気4相当の計略をほぼ無条件で打てる」というゲームシステムであると理解できる。
そして第三弾移行時の大型アップデートにて追加された英魂効果というオマケは、あくまでオマケでしかなくこのシステムの大幅な改変をもたらすものではなかった。せいぜい速度+10%以上で騎馬が常時迎撃対象になる…みたいなトリビア以外で取り沙汰されることは無かったのだ。
④宝石の英魂効果
一方宝石戦器においては、英魂効果というオマケが本体で、戦器の効果は安いオマケにすらなれない。よほどの状態でもない限り、これを切るメリットが無いのだ。宝石自体の効果は従来のもののそれの半分にも満たない、非力なものに過ぎない。
言葉だけで見れば宿主と寄生虫の逆転に過ぎないが、それが実戦でもつ意味は大きく異なる。仮に英魂効果を一種の投げ計略(自分以外のカードを強化する計略)だとして考えてみよう。すると
- こちらが使用を中止しない限り効果が試合中永続する
- 三つの効果を併せ持った
- 部隊が撤退しようがお構いなしの
投げ計略となる。これを他の計略と比較すると、
・まず永続であるが、このゲームにおいて99c持続する計略など『全知の領域』ぐらいしかない。しかもこの効果時間はあくまで士気8貯めるまでの時間+永続なのであって、試合1秒目から効果が開始する計略など聞いたことが無い。
・次に効果の併用だ。これに関しては武力5上昇の基本効果に加え武力低下+移動速度上昇+撃破時回復の巴御前がいる。比較対象がいる分一見マイルドな要素にも見えるが、このうち回復はあくまで部隊を動かした上での副産物に過ぎず、武力低下の弓は組みつかれた瞬間効果を失う。一方英魂効果はそれが付与された一部隊で完結しており、効果を軽減させる要素はあっても発動を中止させる手段が無い。
・そして撤退しようがお構いなしという要素に関しては英傑大戦というゲームに春秋戦国という時代区分が追加されてやっと現れた要素であり、しかもその貴重な計略の持ち主である魯壮公は誰にも使われていない(ファンの方、江越様申し訳ございません)。
となる。誰がどう見てもぶっ壊れ以外の何物でもなく、何物にも代えがたい要素の積み重ねをタダで為してしまうのがこの英魂効果なのだ。
実戦において仮に同士気の同計略の打ち合い(極端な例だが)となったとき、従来の戦器を選択した側が宝石戦器にその極地戦で勝つ──攻城を決める、部隊を撤退させる──手段はサブ計略の重ね掛けか戦器を切るか流派かハンドスキルなどのその他の要素を最大限生かすかの三択しかない。そして前者二つは士気不利と戦器無しという代償を背負うこと前提の択で、使って以降はその不利条件に加えて強力な英魂効果の押し付けが待っているのだ。
この効果を数合わせの1コストやサブ計略要員に積む物好きはいないため、必然的に高コストかつデッキのキーである武将に積むことになるが、この選択が新たな問題を産む。知力戦闘の乗った高コスト武将の兵種アクションが出す火力が爆発的に伸びたことにより、戦場における低いコストの武将全体のカードパワーが相対的に激減してしまったのだ。
効果の都合上枚数を必要とする多枚数の号令及び陣形計略(紀霊、義昭)はラインを上げる難易度が爆上がりし、逆に少数でいい計略や単体強化(項燕、幸村)は自分より下のパワーしか持たない号令相手に鎧袖一触が叶う。英魂交換には移動速度上昇もあるため、戦線を突破された時点でラインを上げた側は枚数を減らされた上武力不利を背負った状況でカウンターへの対策を強いられる事になる。
この現象がまかり通る環境では上記以外の計略の実用性も損なわれることは言うまでもない。普通の号令の十八番であるはずの広がった攻めはワントップ型がローテしながら仕掛けてくる各個撃破のいいエサでしかないし、投げ計略は超強力な比較対象の誕生により一部の例外(管仲とか士気2のヤツとか)を除いて実用性を殺されている。
これが一つの要素が従来の計略の実用性を損なわせ士気の使い合いというゲーム根幹を著しく歪めた英魂効果の全貌であり、著者がこの記事に『適正士気の崩壊論』と名付けた原因である。
⑤改善案
さて、ここからは筆者がこの現状の打開のために考えた改善案をいくつか述べていく。
まず、最も筆者が実現可能性が高いと感じるもの。現状明らかに悪目立ちしている英魂効果「知力戦闘」と「乱戦時攻城」の効果差し替えだ。具体的な案としては、「武力ダメージ0.85倍」や「突撃間隔短縮」、「鉄砲の発射数増加」などだろうか。宝石の英魂効果という新しい要素を極力損なわずに存続させるなら、全てのカードに著しくマッチしたこの2つの要素だけを消し、別の物に差し替える対処療法をとるのがいい手段だと思う。
次に、最も実現可能性が高いと感じる案。知力ダメージの倍率軽減や乱戦時のゲージ増加低減などの、要素それぞれに絞った弱体化。鳴り物入りで実装した新要素を失敗だと認めたくないと運営が感じた際にとる択だと著者は考える(さすがに運営を悪く見すぎか)。
最後に、兵種全体へのバランス改変。運営が高武力かつ知力ダメージを有する武将の攻城にピントを絞って対策するなら、弓による攻城ゲージ減少量の増加とかだろうか?かなり大掛かりなアップデートになるだろうが…
最後に
ここまで散々悪口を述べてきたので、最後くらいは希望的観測をいくつか述べておきたい。
結局のところ、問題は『カードパワーのインフレ』と『新要素の失敗』の二言でまとめられるものであり、前者と後者にそれぞれに明確な答えがあるものである。
カードパワーのインフレに関しては、傾奇ポイントの実装による環境カードの可視化がなされ、より的確な弱体化とエラッタが期待できる。後者に関しても、ここまで我々プレイヤーが騒いでいるのだから何かしらの手が打たれるであろう。運営が仕事を続ける限り、これらの問題は季節風のように過ぎ去っていく可能性が高いのだ。
今回私がこのような記事を書いたのは、現状に対する不満を表現するためだというのは前編にて述べたが、後編を書いているうちにもう一つだけ新しい目的が出来た。
今後環境が落ち着いた際に、何らかの奇縁でこの記事を見つけた貴方に、「そういやこんな時代もあったな」程度のことを、思い返していただきたいのだ。
過ぎ去っていくであろう一期一会の環境に対して、自らが考えたことを、ネットの海に流す。この行為に新しい意味を見出すことが出来たのは、私にとって間違いなく幸甚だったし、それはすべての英傑大戦プレイヤーが等しく得ることが出来る、貴重な気付きなのだろう。
途中までは見れる内容でしたが、
改善案に斬撃ダメージアップがないので、
結局は一方的内見だと感じました。残念です。
個人的には、宝石英魂のラインナップに
「兵種アクション強化」
「兵力〇〇%増加」
これがなかった理由をセガに聞いてみたい感じですね