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初心者向け訴訟講座⑩「憲法、法律、及び、規約について その2」

by
三宅前六品
三宅前六品



 今回は「憲法、法律、及び、規約」の内、法律について説明します。





















         法律とは



 法律とは「一定の目的のため、国民の権利と自由を制限するもの」です。代表的な法律として、民法や刑法、身近ものだと道路交通法などがありますね。

 人々が生活していくためには、指針となるルールが必要になります。そのルールを文章に、まとめたものが法律です。


















 今回、管理人が私の書いた記事を削除したことは、憲法21条に定められた「表現の自由」の侵害であると、私は考えています。

 しかし、企業に対して直接憲法を適用して損害賠償請求することはできません。そこで、民法709条の不法行為責任に基づき、私はセガに損害賠償請求を行います。




















     民法709条 不法行為責任


 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。





















 今回の裁判で、私が主張する大戦組管理人、及び、桃園管理人に侵害されたとする、権利、又は、法律上保護される利益とは、「著作権」です。


















 著作権とは著作物を保護するための権利で、著作者人格権と著作財産権が定められています。

 著作者人格権は、人格的な利益を保護する権利で、著作物を発表する権利、著作者の氏名を公表する権利、公表されない権利、著作者の許可無しに改変されない権利が定められています。

 著作財産権は、財産的利益を保護する権利で、著作者の独占使用権を認め、著作物の無断使用の禁止などが定められています。



 ようするに、著作物を財産として保護する、と定めた法が「著作権法」です。




















 それでは、著作権法で定める著作物とは何を指すのでしょうか?


 以下の条文が著作権で保護される著作物の定義です。























      著作権法 第二条一項


 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。




















 著作物には以下の四つの要件が必要になります。


① 思想又は感情を含むもの
② 創作的なもの
③ 表現したもの
④ 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの




      個別に説明します。


















     ① 思想又は感情を含むもの



 著作権は表現するものの中に、思想や感情が含まれていなければなりません。よって、客観的事実、データは思想や感情が含まれないため、著作物にはあたりません。

 また、おそらくになりますが、AIには思想や感情がないため、AIが書いた絵や文章は著作物にならないと思います。

 なお、絵や文章を書くAIは、最近、実用化された技術なので、AIに関する著作権については、現状、法整備が間に合っていない状況です。



















       ② 創作的なもの



 著作物はオリジナルのものでなければなりません。他者の書いた絵や文章を模写したものは、著作物にはあたりません。



















       ③ 表現したもの



 著作物は表現される必要があります。頭の中で考えていただけのものが著作権で保護されないのは当然ですが、表現される前のアイデアを盗まれたとしても、著作権で保護されません。

















 ④ 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの



 条文をみても何が著作物の範囲に属するのか分かりにくいですが、原則として、一定量の文章であるならば、著作物と認められます。なので、小学生が書いた作文であっても著作権で保護されます。

 俳句などの短い文章も著作物になりますが、単語やありふれた表現は著作物と認められません。一致する文章が歌詞の中のワンフレーズ程度の量だと、著作権の侵害が認められないことが多いです。
















 

 著作物に関して注意が必要なことは、データにあたるものは著作権での保護の対象とされないことです。例えば、英傑大戦の計略効果を記事にまとめたとします。

 記事として文章にまとめたものは、創作性が認められるため、著作権で保護されますが、計略の武力上昇値や効果時間はデータにあたるので、書き写されたとしても著作権を主張できません。


 なお、著作権を主張するのに登録は必要ありません。著作物の要件をみたした時点で、著作権が認められます。


















 次に、大戦組管理人、及び、桃園管理人が削除した私の記事が著作物にあたるかを考えてみます。



















 著作物と認められるには以下の四つの要件をみたさなければなりません。


① 思想又は感情を含むもの
② 創作的なもの
③ 表現したもの
④ 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
















 管理人が削除した私の記事は、私の考えをまとめたオリジナルのものなので、① 思想又は感情を含むもの② 創作的なもの、の要件をみたします。

 また、単語やありふれた表現ではない一定の文章量を、大戦組に表現として投稿しているため、③ 表現したもの④ 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの、の要件をみたします。

 以上のことにより、管理人が削除した私の記事は、著作物の四つの要件をみたすため、著作権で保護される著作物であるといえます。




















 では、大戦組に投稿された記事の著作権は、セガと投稿者のどちらに属するのでしょうか?

















 一昔前には雑誌や掲示板に投稿した記事の著作権は運営元に帰属すると規約に書かれているのが普通でした。

 しかし、著作権が運営元に帰属するとなると、運営元が投稿された記事や絵を自由に編集して、利益を上げることができるようになります。

 また、投稿者が他の雑誌や掲示板に同じ記事や絵を投稿したときに、前の投稿先の運営元から著作権の侵害で訴えられると、損害を賠償しなければなりません。

 さらに、著作権の侵害には刑事罰が定められているため、投稿者が他の雑誌や掲示板に同じ記事や絵を投稿すると、刑事責任を問われることにもなってしまいます。















 さすがに、雑誌や掲示板に投稿したときに著作権が運営元に移るとした規約は問題があるので、著作権の譲渡は個別具体的に行う必要がある、とされました。

 なお、著作権法を見ても条文上は著作権の譲渡は個別具体的に行う、とはなっていません。多分、判例での見解だと思います。



 以上のことにより、大戦組に投稿された記事の著作権は投稿者に帰属します。
















 私はセガと著作権譲渡契約を結んでないため、大戦組管理人、及び、桃園管理人が削除した記事の著作権は、私に帰属します。




 よって、これから始まるセガとの裁判は、

「著作権法の財産権で保護されている著作物に対して、著作者の許可を得ずに行う管理人の削除は、どこまで許されるか?」

と、いう管理人の裁量権の範囲が争点になります。
 














 ちなみにですが、大戦組、桃園の記事のコメントは、コメント投稿者以外に、記事の投稿者も、コメントを削除することができるようになってます。

 しかし、コメントを書いた時点で、著作権が発生しますので、相手の許可無しでのコメントの削除は不適切です。

 記事の投稿者が、コメントを削除できるようになっているところからも、セガの著作権の認識が薄いことを読み取ることができます。
 





初心者向け訴訟講座⑪「憲法、法律、及び、規約について その3」に続く。


 
更新日時:2024/04/03 16:10
(作成日時:2024/03/04 05:04)
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